悲しき詩 | ナノ




71 あの日誓ったコトバ




「―――おやすみぃ、スキン」


ロードの静かな声が、部屋に響いた


「甘党の負け?」


「うぅん…アレン達を先に行かして1人残った奴は僕の扉通ったカンジしなかったなぁ」


「相打ち、ねぇ」


愛結が眠っている部屋で、ロードとティキは小さな声で会話をする

"家族"の1人、スキンとエクソシストとの相打ち――つまり、スキンは"死んだ"ということで


「ん?」


頬を流れるモノに、ティキは僅かに驚き声を漏らす


「泣いてんのー?ティッキー」


そう茶化すロードの頬にもまた、涙が流れていた


「何コレ。俺らの中のノアが泣いてんの?勝手にでてくるんだけど」


「そぉかもね…ノアが泣いてるのかもね」


泣くつもりなんてないのに涙が止まらない

拭おうともせず涙を流すロードは、ある一点を見て僅かに目を見開く


「ん?どーしたの」


「……見て、ティッキー…」


愛結の眠るベットに近づき、そっと囁く


「愛結姉も、泣いてるよぉ」


一度も目を開けることなく眠り続けている愛結の片目から、涙が溢れていた


「愛結姉も悲しいんだね…」


優しい仕草でそっと涙を拭うロード


「しっかし器用に片目だけ泣いてんだな」


その不思議な光景に、ティキは面白いモノを見たとばかりにマジマジと観察する


「ってか愛結って甘党に会ったことあったっけ?」


「ないよぉ。ちょうど出払ってたもん〜」


そしてスキンが帰ってきた時にはもう、愛結は眠りについていた


「……会わしてやれば良かったな」


「…そぉだね」


しんみりとした空気が流れるが…


バタァンッ!!


「「…」」


それを完全に吹き飛ばすような激しい音を立てて入口の扉が吹っ飛んだ

…こんなことをするのはアイツラしかいなかった




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