悲しき詩 | ナノ




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「…こ、このドアでいいですか?」


ジャンケンに負けたアレンはある扉の前で立ち止まる


「どれでもいいんじゃね?」


鍵が重要なのであって、扉は恐らくどれでも一緒だろう

ツナとクロームが見守る中、深呼吸をした後意を決してアレンは鍵穴に鍵を差し込んだ


――バタン!!


「うわっ!」


勢いよく勝手に開いた扉に思わず反射的に体をビクつかせるアレン

そっと扉の中に目を向ければ、そこには何やらメルヘンチックな光景が広がっていた


「ここから、始まるの…」


「、うん…」


クロームの小さな声に、ツナは頷く

そう、ここから戦いが始まるのだ

生きて帰れる保証はどこにもなく、きっとリング戦以上の厳しい戦いが待っていることも想定できる

必ず愛結を連れて3人で帰ると仲間たちに誓ったのだ、ここで死ぬつもりはない





「2人は、どうですか?」


アレンの伺うような声にふと我にかえると、何やら皆で輪になって手を合わせていた(神田は不参加だが)

それに誘ってくれるアレンの気持ちは嬉しいが…ツナはそっと首を横に振る

愛結を傷つけている彼らと馴れ合うつもりはなかった

それが分かっているのだろう、アレンはそれ以上何も言うことはなかった





「行くぞ」


扉の中へと足を踏み入れる

本当はとても怖くて足が震えそうになるが、必ず愛結を助け出すという意思で何とか前へと進める

負けるつもりもないし、アイツらに…紅蓮に、渡すつもりもない


「愛結ちゃん…、待っててね…」


もうすぐ、会える

また、望んだ"日常"を取り戻すために

ただそれだけを胸に、ツナは前へと歩き出した




そのオモイ、譲れない

キミがいるから、オレは笑えるんだ



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