悲しき詩 | ナノ




68



「お、おい…紅蓮とシルフが一緒に、って…どういうことさ!」


「シルフは、弟は別の任務で江戸に、いるわけないわよ…っ」


「信じるも信じないもお前ら次第だ」


遠くから微かに建物が崩れる音が聞こえ、ティキは指先に鍵を乗せる


「ロードの扉とそれに通じる3つのキーだ。これをやるよ」


スッと、鍵がティキの指をすり抜けて落ちていく


「考えて…っつても四の五の言ってる場合じゃねぇと思うけど?」


そう言い終わると同時に――ティキのいる場所に、崩れた建物が落ちてきた


ドォォン


「わっ!」


<ティッキー!>


「建物の下敷きになったである!」


砂埃をあげ瓦礫の山と化したソコを見て皆口々に言葉を発するが……ツナは、小さく呟く


「……違う」


直感で分かる――彼は、生きている


ヒュン


「!」


その証明とばかりに、先程までティキが持っていた鍵が神田に向けて投げられる


「…エクソシスト狩りはさー楽しいんだよねー」


少しこもって聞こえるが、間違いなくティキの声だ


「扉は一番高いところに置いておく。崩れる前に見つけられたらオマエらの勝ちー」


「…ノアは不死と聞いてますよ。どこがイカサマなしですか」


死なない相手に命を賭けても勝ちは見えない――アレンが口を挟めば、ティキの愉快げな笑い声が響く


「ハハハ…っと失礼、何でそんなことになってんのか知らねーケド、」


瓦礫の中を通り抜けながら、ティキは嗤う


「俺らも人間だよ?少ー年。死なねーように見えんのは、オマエらが弱いからだよ」


――自分より弱い人間相手に、死ねるわけないだろ?少年


瓦礫の崩れる音が響き、ティキの声は完全に聞こえなくなった




[ 237/461 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -