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「…少年、」
静かに口を開いた男は、焦げ跡の残る地面を躊躇うことなく歩いてアレンの正面へと立つ
「え?」
「どうして生きてた…の!!」
ドツンッ
痛々しい音が響き、頭突きをされたアレンは痛む額を涙目になって押さえる
「何するん…、!!」
「千年公やチビたちに散々言われたじゃねーかヨ」
キッと文句を言おうと顔をあげたアレンは言葉を失う
もっとも、何も言葉を発せれないのはラビたちもまた、同じだった
「アイツにもネチネチネチネチ言われて大変だったんだぜー?」
男がかけていた分厚い眼鏡が、"体を通り抜けて"地面に落ちた音が、妙に響く
そこにはもう、汽車の中カードゲームを共に遊んだ"ビン底眼鏡"はいなかった
「出口…欲しいんだろ?やってもいいぜ〜?」
褐色の肌に、額に十字架を浮かばせた敵、――ノア
「もうこの方舟に出口はねーんだけど…ロードの能力なら作れちゃうんだよな〜出口」
ドォォン
「!!」
ティキの足元から出てきた扉――それは、アレンとリナリーには見覚えのあるものだった
<レロ!?その扉はロードたまの扉!?>
「ウチのロードはノアで唯一方舟を使わずに空間移動できる能力者でねェ」
クルクルと手に持った鍵を弄びながら、ティキは楽しげに笑う
「どっ?汽車での続きー。コッチは出口、オマエらは命を賭けて勝負しねぇ?今度はイカサマなしだぜ、少―年」
「ぐ…っ」
追い込まれつつある状況に、どう打破しようかと考えていると…
「………愛結も、返してもらう」
ツナが、その静寂を破り静かな口調で宣言する
アレン以外興味はなかったティキは、そこで初めてツナとクロームを視界にいれた
「へぇ、お前らがアイツの案件か」
「…愛結は、どこ…」
「そう簡単に教えたらつまらないだろー」
――だが、脚本に少しだけ色を付けるくらいなら問題ないだろう?
「今愛結はアイツら…紅蓮とシルフと一緒にいるんじゃねーの?」
想像通りに驚いた顔をするエクソシスト達を前に笑みが浮かぶのを我慢できるはずもなかった
。
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