悲しき詩 | ナノ




65



「もうユミ疲れたよぉ…」


座り込んで泣き言を言い始めたユミを見る目は両極端な2種類で


「大丈夫?ユミ」


「もう少し頑張ってくれさ〜」


リナリーやラビらの生暖かい視線と


「えっ、もう疲れたの!?」


「ありえない…エクソシストなのに…」


ツナやクロームらの冷たい視線

特に同性だからか、クロームのユミを見る目は氷のように冷たい


「早く立って…あなたのせいで、みんな動けない」


「あ、あなたそんな言い方…!」


「いっ、いいの、リナリー。私が悪いのは本当だもん…」


クロームのストレートな物言いに怒るリナリーを、ユミが止める


「ご、ごめんね…私、足引っ張らないよう頑張るから…っ」


動けない体に鞭打って皆の為に頑張るか弱いオンナノコ――その役柄を見事に演じたユミに、ツナは呆れるよりも先に感心してしまった

そんな茶番に付き合ってられないと、ため息を一つこぼしたクロームは視線をずっと黙ったままのレロに移した


「ねぇ、本当に外に、出れるの?外に繋がる空間…どこにも感じられないけれど…」


<な、なんでそんなこと分かるんだレロ!?>


「…術者、だから…」


至極当たり前のように理由を簡潔に述べたつもりのクロームだったが、普通はそんなこと分かるはずもない


<……そうだレロ。この方舟は完全に停止したレロ〜!他の空間に繋がる扉もないレロ。まじで出口はないレロ〜!>


「っ危ない!」


がらりと、突如足元が崩れリナリーが叫ぶ

それに舌打ちしながらまだ安全な場所へと飛び移った神田の横で、レロは言葉を続ける


<な、ないデロ…本当にないレロ。この舟からは出られない。お前らはここで死ぬんだレロ〜!>


「う、わ…っ」


「ツナ!」


対処が遅れ態勢を崩したツナにアレンは駆け寄ろうとするが…

ごくん

死ぬ気丸を飲みこみ超死ぬ気モードとなったツナは、炎の推進力を使ってすいすいと瓦礫を足場にしてアレンのいる場所へと飛んできた


「大丈夫ですか」


「ごめん、少し油断した」


その不思議なイノセンスはアレンは見慣れている為普通に受け入れるが、初めて見たユミらは目を丸くする

説明はしていたけど見せたのは初めてだったな、とは思うも関係ないとばかりにアレンに視線を向ける




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