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落下の衝撃に目を回していたレロも暫くすれば目を覚まし、状況を把握すると急に飛び起きた
<は、はなせクソエクソシスト!>
「…喋った」
無感動に呟くと、クロームはまるでゴミを投げるかのようにポイっと投げ捨てた
……中々の扱いの酷さである
「…おい、さっさとここから出しやがれ」
自身の武器、六幻を突きつけて脅す神田に冷や汗を流すレロだったが…
<で、出口なんてないレロ……レロ!?>
突如動きを止めたレロに一同は訝しげな視線を向けるが……そのレロから聞こえてきた声に、表情を変えた
≪舟は長年の役目を終えて停止しましタvご苦労様ですレロv≫
「この声…!」
≪出航ですエクソシスト諸君v≫
レロの口から伯爵を模したような風船が出てきて、高らかに宣言する
≪オマエ達はこれより舟とともに黄泉へと出航しまースv≫
その言葉を合図に、突如近くにあった建物が崩れ始める
≪危ないですヨ〜?vダウンロードの済んだ場所から崩壊が始まりましタv≫
その言葉に目を見開くアレン
こうしている間にもどんどん街並みは崩れていく
≪この舟はまもなく次元の狭間に吸収されてしましまスvオマエ達の科学レベルで分かりやすく言うと……あと3時間vそれが、オマエ達がこの世界に存在していられる時間でスv≫
愉しげに語る声が、リナリーに向けられる
≪可愛いお嬢さンvよい仲間を持ちましたねェvみんながキミと一緒に死んでくれるから寂しくありませんねェv≫
段々と立っていられない程崩壊が進んでいく――この様子だと、伯爵の"3時間"というタイムリミットも嘘ではなさそうだ
≪大丈夫ですヨv遺された者たちの涙も、ちゃぁんと止めてあげますからねェv≫
「伯爵…!」
悔しげにリナリーはその名を口にするが、その伯爵(を模した風船)は既に遠くに飛んで行ってもう見えなくなっている
そして深く考える時間は、残されていなかった
「っみなさん!取りあえず走りましょう!きっとどこかに外へと通じる扉があるはずです!!」
アレンの言葉に、皆崩壊の比較的少ない場所に走りながら手当たり次第に扉を破壊していく、が………
バァン ドォン …
「…どこかに、あるはずなんですけど……」
「そう言ってもう何十個も壊してるさ〜」
壊しても壊しても、外へと通じている扉が見つからず焦りが募る
。
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