62 そのオモイ、譲れない
「………あー…えっと……」
――空気が重すぎる…!
無理やり笑みを浮かべたツナだったが、それがだいぶ引きつっていることは分かっていた
今、ツナたちは先行していたエクソシスト達と合流し、話し合いをしているのだが……その両者の距離感が、酷い
ツナら並盛組と、先行組とのこの物理的・心理的距離感
「(…ボス、この居づらい空気、何…)」
「(いや、俺に聞かれても…)」
「サワダにクローム、だったよな?」
小声でコソコソ喋っていた2人に声をかけてきたのは、赤髪の眼帯をつけた青年――ラビ
先程自己紹介をしているから名前は分かっている
「は、はい!何か、」
「アンタら……高井愛結に騙されてるんじゃないさ?」
何か用かと聞こうとしたツナの言葉を遮られ、冷たい声色で言われた言葉に耳を疑う
あまりに予想外の言葉に咄嗟に言葉が出てこず、それを言いことに周囲の人間が口々に好き勝手言い始める
「ユ、ユミちゃんを傷つけたような子なのよ…?」
「み、みんなぁ、私、なら大丈夫…だよぉ?」
「また傷つけられたらどうするんさ、ユミ!あんな危ないヤツ…」
―――あぁ、愛結ちゃんはこんな場所でずっと耐えてきたんだ…
冷たい目で、一方的に愛結を悪く言う、かつては仲間であっただろう人たちを見て、ツナはそう同情せずにはいられなかった
「………先程はすみません、ツナ…止められなくて…」
「い、いやアレンが謝るようなことじゃないよ」
眠っていたリナリーが目覚め、いざ出発という時にこっそりと近づいてきたアレンは、申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にする
確かに散々悪意を向けられいい気分ではなかったが、アレンのせいというわけでは決してない
あの後今後の方針に関する話し合いが行われ、神田ユウがいるティエドール部隊は適合者探しの任務へと戻り、ツナらはラビらクロス部隊と行動を共にすることとなった
…"愛結側"の人間であるツナとクロームの同行はもちろんいい顔はされなかったが、2人がエクソシストであるという部分から反対はされなかった
「…俺らなら大丈夫だよ、アレン」
その言葉に同意するように頷くクローム
そんな2人を見てアレンはホッとした表情を浮かべ、立ち上がろうとしているリナリーを手伝いに向かった
「……前途多難、」
そんな後ろ姿を見ながら呟かれたその言葉に、ツナが力なく笑みを浮かべた、時
<見つけたレロ>
。
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