悲しき詩 | ナノ




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「<おーいレロー、聞こえるかー?>」


<レロ!?この声は紅蓮タマ!?>


頭の中でレロに意識を向ければ、慌てているのが容易に分かる声で返事が返ってくる

レロ…カボチャの形をした傘型ゴーレムは千年公の"お使い"の最中ではあるが、気にすることなく言葉を続ける


「<そー、俺だけどさーちょっと頼みたいことがあるんだよなぁ>」


<レ、レロ!?で、でも伯爵タマのおつかいもあるレロ…>


「<そう、それ!そのお使いなんだけどよォ……追加で連れてきて欲しいヤツがいるんだわ>」


ニヤリ、楽しげに笑みを浮かべる

レロに与えられた命令はリナリー・リーを方舟に連れてくることだけ、だが…


「<エクソシストの服を着てない男と女がいるはずだがら、そいつらもついでに連れてきて>」


欲を言えばティキのお仕事のヤツも欲しい所だが…まぁ最低限あの2人を連れてこれれば問題はない


<伯爵タマに怒られるレロ!>


「<だーいじょうぶだって!その千年公の了承済みだから☆>」


真っ赤なウソなのだが、それを簡単に信じたレロは途端明るい声色になる


<そ、そうレロか…!なら頑張ってくるレロ!>


「<おう。じゃ、よろしく〜>」


例え嘘だと分かったとしても、レロに拒否権はない

"回線"をブチッときれば、途端感じる疲労感に紅蓮は苛立たしげにため息をつく


「はぁ、」


自室の豪華なソファにどかりと腰かける

こういうノア特有の力を使うとやはり必要以上に体力を奪われる

その原因はイノセンスだと分かっているのだが、壊すのは方舟のダウンロードが終わってからと決めている為どうすることもできない

今まではイノセンスとメモリーの力が"均等"に保たれていたから何も問題はなかったのだが…

この体の重さから察するに、その均衡は少しガタついているようだ


「……は、ははははっ!」


これ程愉快なことが他にあるだろうか?

喜劇がもうすぐ幕を開ける

全てが始まるのだ

――幕が開けたら、終演まであっという間だから…少し勿体ない気もするのだが。




適合率50%

残虐で、華麗なショ-を!



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