悲しき詩 | ナノ




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ズルズルズル…


「あーあ、なして撤退するんスか千年公ー」


せっかく面白くなりそうだったのに、と方舟の中、千年公に引きずられながら文句を言うティキ


「ティキポン…v大きくなりましたネェv」


ズルズルズル…


「聞いてますー?千年公ってばー」


完全に無視されピキリと頬が引きつるティキのその問いかけに、答えたのは千年公ではなかった


「ダウンロードまで4時間をきったんだよ、ティッキー」


「おヤvダウンロードお疲れ様でしタvロードv」


近くの建物から顔を出して現れたのは、ロード


「おだちん、あめ1年分ー」


「はーいはイvわかりましたヨv」


「相変わらずロードには激甘だねェ千年公は」


「あ、紅蓮だーおかえりぃ」


ロードの言葉におう、と片手をあげることで返事を返す


「つーかお前どこで遊んできたんだよ」


自分だけ満足げに…と恨めしそうな視線を向けてくるティキに、紅蓮は勝ち誇ったようにニヤリとあくどく笑う


「おぉ、すっごーく楽しく遊んできたぜ、ティキ」


「ぐぅ…」


神田との戦いを邪魔されて不完全燃焼気味のティキにとっては羨ましい以外の言葉が出てこない


「でもさ、アイツ…えーっと名前なんだっけ…………あ、リナリーだリナリー!アイツ一応ハートの可能性があるから捕まえにいくんだろ?」


「もちろんですヨvお嬢さんのお迎えにレロを向かわせましたかラv」


「だろ?ならそん時また遊べるし気にすんなってティキ」


紅蓮は機嫌良さそうにティキに近づき…ふいに首を傾げる


「それよりさ、お前煙草の銘柄変えた?」


「あ、それ僕も思ったぁ」


そう言われ、ティキは自分の服の匂いを嗅ぐが…特別いつもと変わりはない


「変えてねーヨ」


「……ふーん」


ちらりと、周囲に目を配らせながらロードは小さく呟いた




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