悲しき詩 | ナノ




52



色々混ざりあう不思議な音を叩きつけられてクロームは顔をしかめるが…


「俺は何も聞こえないけど…」


この音――いや、"声"が聞こえているのはクロームだけのようだった


「飛び飛びだけど…声が…女の人が、"らび"、"みらんだ"……あと、"だして"って…」


「、まさか…リナリー!?」


聞き覚えのあり過ぎる名前に目を見開くアレン


「でも、何かノイズが酷くて……っ嫌な感じが、する…」


キィ――…ンと、耳鳴りのような耳障りな雑音が大きくなっていく

まるで、危険が迫っていると知らせるように


「っ急ぐぞ!あの結晶の近くに伯爵様と他のエクソシスト達がいる!」


「、先に行きます!!」


仲間に迫る危険に、アレンはリナリーが閉じ込められているであろう結晶に向かって走っていく


「おい弟子!勝手に突っ走るな!!」


ユキエの声も恐らく届いてはいないだろう


「ボス、私たちも行かなきゃ…」


「分かってる」


同じく走り出そうとした2人の肩を――後ろから、掴んだ者がいた





「ダーメ。オマエらはここで待機な」





グイッ


「…っ、!?」


誰もいないはずの背後から肩を掴まれ、思いっきり後ろに吹っ飛ばされる


「ちょーっとさ、聞きたいことがあるんだよなぁ俺が」


手をヒラヒラさせながら軽い笑みを浮かべるのは、金髪の男


「アレンは邪魔だし別にいらないから行かしたけど…お前らは通すつもりはないぜ」


これ以上千年公に怒らせたくねーし、と笑いながら大剣の切っ先をツナたちに向ける


「お前は……」


「よぉ、ボンゴレ10代目とその守護者さん」


「紅蓮……!!」


名前を呼ばれ、男――紅蓮は楽しげに唇を歪めた




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