悲しき詩 | ナノ




47



ユキエはツナたちの前に自分の手を差し出す


「ほら、手ェ出せ。オレたちアクマだけが通れる"扉"だから、オレという媒介と一緒じゃないと通れねーんだ」


言われた通り手を握ると、ユキエの体が淡い光に包まれる


「10代目、行ってらっしゃいませ」


「気をつけてな、ツナ!」


獄寺と山本の見送りの言葉に、ツナは少し緊張しながらも目を見て頷く

そんなツナに、山本の肩に乗ったリボーンが言葉をかける


「ママンや京子たちのことなら心配いらねーからな。心置きなく戦ってこい。アレン、クロームも頼んだぞ」


徐々に光を強めていくユキエは、もう目を開けていられない程の光を放っている


「"扉"を開けるぞ!」


ぎぃぃ、と古びた扉が開く音が響く


「そ、それじゃあ行ってきます!!」


「あ、犬と千種にも一言、言っておいて欲しい…!」


「行きましょう…!」


「――"ゲートオープン!リンク先は江戸A-436!"」


光が一際強くなったかと思ったら、ユキエの声を最後にツナたち4人の姿はそこから消えていた










「……行っちまったな、ツナたち」


「あぁ…」


つい先ほどまでツナたちがいた空間を見ながら、獄寺は小さく頷く

これから彼らは過酷な戦いに挑んでいくのだろう

何もできない自分が歯がゆくて仕方がない


「どうか――…」


どうか、皆無事で帰ってきてほしい

いなくなってしまった彼女と共に、また――…







[ 216/461 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -