悲しき詩 | ナノ




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―――日本、沢田家前 


集合時刻少し前、そこには朝と同じメンバーが集まっていた

……いや、


「ったく何でアイツが一番遅ェんだ…!」


遅れるなと何度も言っていたユキエ本人だけまだ来ていなかった


「ご、獄寺くん落ち着いて…まだ時間まで少しあるし、ね?」


「落ち着いてなんていられません!こんな大事な作戦前、5分前集合が常識だと思いませんか!?」


「でも獄寺、リング戦の時ギリギリだったよなー」


「う、うるせぇ!」


山本が口にした事実に何も言えなくなり、苛々を隠そうと煙草をくわえる

残り1本、というところでようやく表れた、のは


「わりィな!ギリになっちまった!」


「…、」


バタバタと走って現れてその勢いのまま手を合わせて謝ってくるのは、着物を着た20歳前後の女性で……


「えっと……、誰?」


見たこともない人に突然話しかけられ、ツナは戸惑う


「何言ってんだよ!オレだってオレ!!」


一生懸命自分だとアピールしてくるが、それでも反応が得られず女性はショックを受けたようだ


「オレだよ…ユキエだってば……」


ボワンッ


<ホラ、これで信じたか!>


煙が晴れたところには昼間みたあのクマみたいなアクマ…ユキエがおり、あの女性はユキエなのだと納得せざるを得なかった

どうやら人型にもなれるようで…アクマとは奥が深い

人型へと戻ったユキエは、真剣な表情で集まったメンバーを見回す


「さて、ここに集まったということは準備はいいってことだよな?」


ごくりとツナは唾をのむ


「昼にも言ったがここからは本当に死がとても近い世界だ。生半可な覚悟じゃ生きては帰れねェ―――準備は、できたんだよな?」


念押しのような問いかけに、ツナは口を開く


「……今さら、だよユキエ。俺は絶対に愛結ちゃんを助けに行くって決めたんだから」


「ツナの言う通りですよ。今さらそんな言葉で退くわけないじゃないですか」


「…行くって決めたから…」


その三対の目を見て、ユキエは満足げに笑みを浮かべた


「…そーだな、今更愚問だったな」





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