悲しき詩 | ナノ




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「めっずらしい、スキンとルル=ベルまでいるじゃん」


アメをがりがり噛み砕いているスキンと、その近くに佇むルル=ベル

その珍しい姿に呼び出しがかかったのは本当らしいと紅蓮はいまだに残る耳鳴りの感覚に顔をしかめた


「お、お前も感じたんだ?あの耳鳴り」


「お前も、ってことは…お前らもか」


自分だけではなくどうやらここにいる者全員感じたようで、やはり先程の耳鳴りは偶発的なものではないようだ





「――それハ、ココに異分子が侵入したからですヨv」


みなさんちゃんといますネv、その言葉に紅蓮は後ろを振り返る


「そりゃアンタが呼び出したんだからみんな来るって、なぁ?千年公」


相変わらずの神出鬼没さだ


「それより千年公ー、異分子って何のことっスか?」


「侵入って言ったよな、侵入って!」


「デロも気になるし!?」


「そうですねv簡単に言えばティキポンたちがサボったお仕事のツケ、というところでしょうかネv」


「「「ギクリ」」」


身に覚えがあり過ぎる人たちはその言葉にピシリと固まる

江戸に忌々しいエクソシストが侵入したようでスv―――笑っているのに笑っていないこの迫力に、皆顔を引きつらせる


「つーかさ、何でここに侵入できるわけ?」


ここ"江戸"は完全に閉ざされたもう一つの"日本"

"出入口"は自分たちノアとアクマたちしか通れないはず、だが――


「……なるほど、そういうことか」


「一部にアクマが裏切ったのでしょウvそれしか考えられませんシvまったく…チョコマカと小賢しい虫でスv」


アクマが千年公の意思に背いて行動できるわけがないが……紅蓮の脳裏にいけ好かない元帥の姿が思い浮かぶ


「主、私が始末してきましょうか」


「ルル=ベル、貴女はここで待機でスvというより全員待機ですかラv」


キャハハvと千年公は楽しげに笑う


「どっちみちココに来るんでスv我々が行くよりも向こうから来てもらったほうがテマもかかりませンvというわけで皆さん待機ですヨv」


「…要するに動きたくないって……」


「ティキポン?v」


「イエ、何にもッス…」


ぐいっと顔を寄せられ、ティキは思わず数歩後ろへ下がる


「じゃあいつ来るんだ?連中は」


準備でもしておこうかと紅蓮が立ち上ると、千年公がサラリと言う


「もう来てますヨv」





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