悲しき詩 | ナノ
41
「ひ…っ、」
誰かが漏らした引きつった悲鳴
後ずさり、怯える子供たちに気にした様子もなく、オトナたちは"実験体"を選んでいく
「1659、1439、1889、821、1200…」
淡々と読み上げられていく番号……否、"名前"
「いやぁぁぁっ!!」
「離せ、離せよ!!」
泣き叫び、抵抗するも力の加減なく殴られて次第に大人しくなっていく
その目を――"絶望"に染めて
『…っ、』
目を閉じ耳を塞ぎ、少しでも聞こえないようにする少女を、そっと抱き寄せる
「2871、1900、701、893、1400……」
ぴくりと、少女の体が揺れる
「、愛結…」
『……っ、だいじょうぶ…いって、くるね』
"名前"を呼ばれた少女は、泣きそうになりながらもその顔に無理やり笑みをつくる
呼ばれてしまった以上、逃げる術はない
「……っ」
オトナに手を引かれ、無理やり連れられていく少女を、ただ黙って見送るしかなかった
―――そして、おおよそ半日が経過した頃
――カツーン カツーン …
また、あの足音が聞こえてきて、無造作に扉が開けられたかと思えば担いでいたモノを落とすように下ろすと、また扉を閉めて去っていった
「っ愛結!」
落とされたのは連れ去られた子で――だが、明らかに数が少なすぎた
28人連れて行かれたのに対し、戻ってきたのは少女と、あの無表情な新人の2人だけ
キツい薬を投与されたのか、身体が驚く程熱い
「しっかりしろっれ!おい愛結!」
どれだけ呼びかけても少女の目が覚める気配はない
「…犬、取りあえず寝かせてあげましょう。千種、毛布の用意を」
随分と人数が少なくなった部屋の中、少年は唇を噛みしめる
何もできない自分が酷く惨めで、強く拳を握りしめた
。
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