悲しき詩 | ナノ




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深く、深く、堕ちていく―――……










『――はじめまして、あたし高井愛結!よろしくね!』


ニコリと笑みを浮かべ、少女は目の前にいる"新入り"達に対して挨拶の言葉を口にした


「………」


あからさまに無視されるという結果に終わっても、その笑顔が消えることはなくニコニコと笑っている


「…気楽なものですね。ここがどこなのか分かっているのですか?」


それに苛立ったのだろう、藍色の髪の少年が蔑むような瞳で少女を見下ろすが、少女は気にした様子はない


『知ってるよー?けんきゅーしせつ!あたしもキミたちも、"もるもっと"でしょ?』


分かっているのに何故、そう言いたげな表情の少年に、少女はただただ笑う


『だってお母さんとお父さんが言ってたもん、みんなの役にたつためにがんばりなさいって。みんなのためだから、痛いのも我慢しなきゃいけないんだって…
イイコにしてたら迎えにきて、くれるって……いってたもん……』


涙を浮かべながらも、少女は無理やり笑みを作り続ける

気付かないはずがなかった、もう誰も迎えにきてくれないことを

痛いことをする大人たちがどこかオカシイことも

日に日に減っていく友達だった人たちも


『笑ったら、みんな笑ってくれるもん……生きて、ここからみんなで出ていくって、信じてるもん…!』


痛くて辛くて、何度も泣いてしまうけれど――涙を流した分、笑ってやるのだと決めたのだから


「……ただ狂った人間かと思いましたが、どうやらそうではないようだ」


『…?』


目のふちに溜まった涙を指で拭う仕草は優しい


「僕たちもここで死ぬつもりはありません。何が何でも…どれだけ傷つけられても生き延びると決めています」


笑みを浮かべて差し出された手を見て、少女は戸惑ったように手と少年を見比べる


「改めて…はじめまして、愛結。僕は骸、そして犬と千種です」


その言葉に、パァっと少女の顔に笑みが浮かぶ――作り物ではない、明るい笑みが


『うん!よろしくね、むっくー犬ちゃんちーちゃん!!』


―――その呼び名に、大反対されたのは言うまでもないだろう





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