33
「10代目!俺、考えたんですけど!」
「な、何を…?」
部屋に入ってきた勢いのまま、獄寺はツナの手をガシリと握りしめる
ツナはその勢いに完全に押され、先を促すことしかできなかった
「"江戸"です!もしかしたら、"江戸"への行き方が分かったかもしれません!」
「えぇ!?」
「へぇー、獄寺すげーのな!」
自信満々に胸を張る獄寺を、一同は驚きに満ちた表情で見つめる
「あれ、山本もこのことで一緒に来たんじゃないの?」
「ん?俺は違うぜ。たまたま一緒になったけど…俺は別に用事があったわけじゃないしなー」
アハハ、と笑う山本はいつも通り明るいもので、それに獄寺がクワッと突っかかる
「この大事な時期に用事もないのに来たのか!?10代目はオメーみたいに暇な方じゃねぇんだよ!」
「そうかー?だって、右腕は近くにいなきゃだろ?」
「俺が右腕だ!!オメーは耳たぶだ耳たぶ!!」
いつかしてたような会話を繰り返している2人にツナは乾いた笑みを浮かべて聞いていたが、このままでは埒が明かないと無理やり本題へと入る
「ほ、ほら獄寺くん!"江戸"への行き方が分かったって、俺聞きたいな―…?」
「ハッ!そうでした!野球馬鹿に付き合ってる場合ではありませんでした!」
コロリと態度を変え、真剣な表情で自分が考えた"推論"の説明を始めた
「アレン、確認なんだが"江戸"は敵…千年伯爵やノア、アクマも本拠地という認識で問題ないんだよな?」
その確認の質問に、アレンは首を縦に振る
「10代目、覚えていますか?愛結がこの並盛にアクマが多いと言っていたことを」
「あ――…何か、言っていたような…」
「アクマ、ですか…。確かに、この土地はアクマの量は他より多いのは気になっていました。暴れているわけではなさそうですが…」
アクマと人間を見分ける目を持つアレンが言うのなら疑う余地はない
「そう、この並盛にはアクマが多く存在する。本拠地である"江戸"にも当然アクマが多くいる……このアクマの動きで…どこからアクマがこの地に来ているのか押さえれば、"江戸"に行けるんじゃないかと思いまして…」
何の根拠もない、ただの推論でしかないが――大よそ筋の通った推論であることは間違いなかった
アクマがこの並盛に流れてきているとすれば、必ず"どこか"から流れてきているはずで、その一点さえ押さえることができれば……
「へ―獄寺すごいのな!ならその辺にいるアクマ一匹捕まえてきて吐かせればいいんじゃね?」
「いえ、一体だと信憑性が怪しいです。数体は必要でしょう」
普通に何体捕まえるか真剣に考え始めた山本とアレンに、ツナは乾いた笑い声が漏れる
なにはともあれ、これで突破口らしきものは見つかった。簡単ではなく、僅かな光ではあるが…見つけた"希望"
まだ続けられている何体確保するかの論争を背に、現実逃避気味にふと窓を見て―――…
「うわぁぁぁぁっ!?」
…――思いっきり、絶叫した
。
[ 202/461 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]