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「―――よし、休憩だ」
その言葉でアレンとツナは戦闘態勢を解いた
「あ――疲れたぁ――」
一旦家へと戻ろうという話になり、空き地から自宅へ戻ってきたツナは、自分の部屋に入るな否やごろりと寝っころがった
その姿はどこにでもいる普通の学生そのもので、アレンは笑みをこぼす
疲れた疲れたとブツブツ言ってる姿から、先程まで自分と手合せしていた彼と同一人物だなんて到底思えない
だいたい彼のイノセンス自体も普通とは少し違っている
グローブは間違いなく装備型イノセンスなのに、"死ぬ気の炎"と呼ばれる別のエネルギーを通さないと発動しない、なんて彼に会うまでは聞いたこともなかった
修行をすればするほど、水を吸うスポンジのように上達していく姿は師匠(仮)としては喜ばしいものだ
この調子なら、自分と並ぶのはそう遠くない未来だろう
「へばってんじゃねーぞダメツナめ」
ドゴォッ
「いった―――っ!!何するんだよリボーン!!」
恐らく何の手加減もなかったであろう飛び蹴りが直撃し、ツナは涙目になっている
アレンはそんなほのぼのとした空気にクスリと笑みをこぼす
まさに少し前までの自分たちそのものだった
ラビがふざけたことを口にしたらブックマンに容赦なくどつかれ、倒れるラビに慌ててリナリーが駆け寄って、それを自分は小さく笑いながら見ていて――…そんな、当たり前だった光景
「アレンも何か言ってやってよ!」
「え?」
ギャーギャー騒いでいるツナと、涼しげな顔で銃を取り出すリボーンという何とも対照的な2人に、自然と笑みがこぼれる
「仲がいいんですね、お二人は」
「そういうことじゃなくて!」
ツナのツッコミが入るも、アレンはただ笑っているだけだ
そんな2人の会話を銃の手入れをしながら聞いていたリボーンは、ふと窓を見て、ぽつりと呟いた
「…何しに来たんだ?アイツら…」
「え?」
ツナはその言葉に何事かと窓に近寄り、下を覗いてみた
「え、どうしたんだろ…?」
丁度母によって家に招き入れられていく姿を見て、ツナは首を傾げる
ドタドタと勢いよくこちらに向かってくる足音は2人分
バーンッ
「10代目!聞いて欲しいことがあります!!」
「よぉツナ!」
「獄寺くんに、山本…!?」
勢いよく扉を開けて入ってきた2人に、ツナたちは驚いた表情で迎え入れた
。
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