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「え、実験…?一体なんの話か、全く分からないのですが…」
首を傾げるアレンの表情に嘘は見えない
それに対しクロームが何か発するより前に、リボーンが口を挟んだ
「おい待て骸。その"実験"というのは…あのエストラーネオファミリーが行っていた人体実験のことか?」
"エストラーネオファミリー"―――その言葉に犬と千種はピクリと反応する
彼らにとって、因縁深いマフィアの名前だ
「"その通りです。実際に僕はあの場所で六道輪廻を手に入れました―――地獄のような実験の末に"」
幼少期に深く刻まれた傷はそう簡単に癒えるものではない
「"犬、千種。覚えていませんか?肩までの赤髪に青色の瞳を持つ女の子を"」
「赤い髪…?」
「青ひ目……」
「"犬ちゃん、ちーちゃんと呼ばれていましたね、確か"」
「「あ」」
その呼び方で、2人の脳裏に一人の少女が浮かんだ
「「"泣き虫"だ」」
名前は忘れてしまったが、すぐ泣くから"泣き虫"と呼ばれていた少女
骸が組織を壊滅させた日に姿を消したのを思い出したが――
「"あぁ、お前たちはそう呼んでいましたね。その"泣き虫"の名前、覚えていますか?"」
名前まではどうしても思い出せず、首を横に振る2人
それらを見て、骸はゆっくりとその名を口にした
「"愛結ですよ。"泣き虫"の名前は高井愛結です"」
予想だにしていなかった名前に、ツナは言葉を発することしらできずただ固まった
その名前は、とてもよく知ってるものだった
「"クフフ…ボンゴレも知ってますよね?この名前の少女を。えぇ、あなた方と一緒にいた彼女は確かに、僕たちと一緒にあの地獄の中にいたのですよ"」
「しかし骸様…確かに、"泣き虫"と高井愛結は似てます。けれど……瞳の色が、」
愛結の瞳は空色で、"泣き虫"だったあの子の瞳は――透き通るような、青
「"そう、それに彼女は僕たちのこと何一つ"覚えていない"……実験場にいたはずの時間は、教団にいたことになっている"……、っ…」
集中力を使うのだろう、クロームの体力が限界に近づいてきた
「…、"これだけ、言いたかったんです…教団などに…彼女は、渡しません…から…"……む、くろ様…」
最後に骸の名を口にして、限界を迎えたクロームはその場に倒れこんだ
。
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