![]() それから、元親はナツヒメとしゃべり続けた 『へぇ、鬼さんなんだ』 「おうよ!野郎どもからはアニキって呼ばれてるけどな」 『ふふふ、かっこいいね』 「お前は、なんて言われてるんだ?」 『そのまま、ナツヒメだよ』 「そうか!―――ふぁ…」 元親は大きなあくびをひとつ、した 『もう夜遅いよ、寝なきゃ』 ナツヒメは元親の手を握った 「ナツヒメ…?」 不思議そうに尋ねた元親にナツヒメは笑いかける 『また、会いに来てくれる…?』 「毎日来てやるぜ!」 元親も、笑顔で答えた 『お休みなさい、元親』 「おう!またな!」 ばしゃんっ 綺麗なヒレをしならせ、ナツヒメは水平線の彼方へ消えた 「―――ううっ、寒ィな…」 夜の寒さに身を震わせ、足早に船へ戻っていった 鬼と人魚 【それは"マボロシ-幻-" が "マコト-誠-"になった日】 [*前] [次#] |