![]() 同盟の話も無事に終わり、秀吉たちは今晩を同盟先の城で過ごすことにした つかの間の休息ということで、互の軍の兵士たちは昼間だというのに杯を交わしている これも秀吉と城主が出した無礼講 兵士たちは盛り上がっていた さて、三成たちは城の中を歩き回っていた それは家康の一言「夏姫殿と話がしたい」ということだ 家康の意見なんかどうでもいい三成は秀吉のそばで酌をしようとしたが吉継も家康に同行するとのことでついてきたのだ しかし、城の中を探し回っても見つからず、ただ歩き回っているだけだ 「はぁ、みつからないな」 家康がため息をこぼしながらつぶやいた 「とんだ無駄足だったな」 それに続いて三成もつぶやく 「女子(おなご)には諸々の事情がある故、致し方ない」 三人は諦め、広間へ戻ろうと来た道を戻ろうと方向を変えた [――――――] 「…?」 ふと、とある曲がり角の廊下の向こうから声がした その声に足を止めた三成 そんなことに気づかず家康と吉継はいってしまった 「なんだ…」 声に導かれた三成の足は自然と声のする方へ動いていた そして、とある部屋の前にたどり着いた その部屋から聞こえてくる歌声は鈴のように美しかった [*前] [次#] |