私のヒーローアカデミア




 さて。入学初日にグラウンドで何をさせられるのかと思いきや。

「個性把握……テストォ!?」

 だそうです。ふむ、なんとなく面白そうな響きだねえ。

「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」

 イレイザーヘッド……じゃなくて、相澤先生らしい言い分だなあ。ああいう行事ってあんまり好きじゃないから私は嬉しいけどね。こういう身体動かすことの方が好きなんだ。

 昔はよくかっちゃんの後ろにひっつき回って遊び歩いたなあ。そのまた後ろにはいずくんがいたっけなあ……とこれまた過去に記憶が飛びそうになる。危ない危ない、また怒られてしまう。相澤先生の声に意識を戻した。

「雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り」

 確かにここの教師陣って自由すぎるくらいに自由な人が多いなあ、と勝手に納得してみた。そういえば今年からはオールマイトが先生として勤務するんだっけ……マイトさんじゃなくてマイト先生になるのかあ。"相澤先生"よりも違和感すごいぞ。

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈。中学の時からやってるだろ?個性禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ」

 ああいけない、気づけばまた意識が逸れて……イレイザーヘッド話長いよ?

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
「じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なけりゃ何してもいい、早よ。思いっきりな」

 おっ、かっちゃんだ。遠目で見てもやっぱりかっこいいなあ。勿論昔からかっこよかったけど、何というか、進化形だ。最終進化形だ。今以上にかっこいいかっちゃんがかつていただろうか。いや、いない!ただし今後にも期待大!何を言っているんだ私は!さあさあそんなかっちゃんが今、振り被ってー……投げたー!

「死ねえ!!!」

 おう?死ね?まあかっちゃんらしいけど。ピッ、という電子音と共に表示された記録は705.2m。わかってたけどすっごいな!

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「個性思いっきり使えるんだ!さすがヒーロー科!!」

 クラスがどっと盛り上がる。当然だ。初日からこんな面白そうなことさせてもらえるなんて、雄英に入って良かったなあ。おらわくわくすっぞ。

「……面白そう、か……ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 おや、ちょっと不穏な空気。相澤先生顔こわ……ヒゲ剃れ!!小汚いな!なんて言ったら殴られるから黙ってよう……

「よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう。」

 しばしの、間。クラス中が耳を疑ったんじゃないだろうか。

「「はあああ!?」」
「生徒の如何はおれたちの"自由"……ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ」

 先生何だか、いきいきしてるなあ。生徒に除籍宣告して何がそんなに楽しいんだろう……わからない、わからないよイレイザーヘッド。教師としても人としてもちょっと心配だよイレイザーヘッド。

「うーん……まじかあ」
「あんなのウソに決まってますわ」

 丁度隣に立っていたボリューミーポニーテールの女の子が呟いた。きりっとしていて素敵なひとだ。

 私だって、相澤先生を知らなかったらそう言ったと思う。けど確かあの人は去年……

「……案外、本当かもしれないよ」
「え?」
「んーん、なんでもない。あ、お名前は?私名無しです」
「八百万百ですわ。よろしくお願いします」
「やおよろ……百ちゃん!よろしくねえ」

 きりっとしていて背も高くてクールでかっこよくて頭良さそうで素敵なひとだ。素敵なひとだ。頑張ってお友達になろう。一人でうんうん頷いていたらかっちゃんと目が合った。ので、目とジェスチャーで「さっきのすごかったよ!」と伝えれば渾身のドヤ顔を返された。ついでにすごい顔してるいずくんが見えて心配になる。恐らく最下位除籍の心配だろうけど……いずくんいなくなったらいやだぞ。いずくん頑張って。

 よし、自分のことも考えなくちゃ。がんばるぞー!正直な話、このテスト形式なら私の独壇場だと思うんだ。
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