帰還と変化
「シンドバッド国王陛下、ご帰還!!」
南海の島国、シンドリア王国。"迷宮攻略伝説"の末に作り上げられた"夢の都"として広く知れ渡り、訪れる人は多い。
そしてこの日、国王たるシンドバッドが四ヶ月にもわたる長旅から帰還した。
待ち望んだ国王を、八人将が迎える。
「お帰りなさいませ。ご無事のご帰還何よりです、シンドバッド王よ」
「ああ。長い間留守にしたなジャーファル」
「留守中の国事はつつがなく」
「そうか。…ああ、忘れるところだった。喜べお前ら!」
響いたシンドバッドの声に、歩き出していた八人将の足が止まる。兵達も王の言葉を聞き逃すまいと、辺りは一層静まり返った。
「ナナシを、無事に連れ戻した!」
一呼吸遅れて、溢れ出す大歓声。
一人の女が、白いマントに身を包んだまま、喧騒の隅でため息をついた。