関係と態度




 シンドリアは良い国だ。世界を見てきたからこそ、改めてそう思う。

 あの頃の僕はこの国しか知らなかったから、やはりどこかで、"あたりまえ"だと思っていた。そして、それがおそらく間違っていることも、わかってはいたけれど。

 やっぱり、世界を見ることができて本当によかった。










 二年ぶりに訪れた宮中の自室は、やはりどうしようもなく落ち着いた。

 僕が国を出た当時のまま(やけに整頓されていたが)、全く変わらない部屋にまず驚いた。ジャーファルさんが良い笑顔で『貴方がいつ帰ってきても良いようにしておいたんですよ』などと仰るので、何だか罪悪感にいたたまれなくなった。

 大きすぎるくらいの窓を開け放って身を乗り出せば、懐かしいシンドリアの朝の風景。ふと、そんなことを思う。

 シンドリアは良い国だ。

 広い世界をいくら歩き回ったって、こんなに良い国を見つけられる自信がない。

 国民は国の為に全身全霊をもって働き、国は国民に全力で応える。国民の誰もが笑顔に、幸せに満ち溢れている。

 ああ、帰ってきたんだなあと実感する。緩む頬をそのままに、シンドリアの空気を胸いっぱいに吸い込んだ。


「ただいま」


 さあ、今日は忙しくなりそうだ。
 

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