月と先輩
「月島くんのその身長、良いよね」
「ご安心を、先輩も充分大きいですよ」
「女子に大きいとは何事だコノヤロー、一応コンプレックスなんだからなバカヤロー」
「長身がコンプレックスの人は私服で厚底履いたりしないと思いますけど」
「おいコラなんで君があたしの私服を知ってるんだい」
「さあ?なんででしょうね」
「ていうかね、別にあたしは月島くんの長身が羨ましいわけじゃなくてね、なんか隣に置いておくと安心するよねーって話」
「先輩こそ、可愛い後輩を"置く"とは何事ですか何様のつもりですか」
「ほらあたしって身長コンプレックスだからさー、なにせコンプレックスだからさー、人のこと見上げてると安心するわけよ」
「無視かよ」
「強いて答えるとすれば"先輩様"だよ」
「つうかなんでコンプレックスって二回言ったんですか」
「それはだね月島くん。大事なことだからだよ」
「先輩って見かけによらず馬鹿ですよね」
「なんだとー、テメー月島コノヤロー」
「ああすみません、馬鹿なのは見たまんまでしたね」
「あっれ、そういえば今日グッチーは?」
「ほんとスルースキル高ぇな。……いやあの、グッチーってなんですか」
「は?月島くんがツッキーなんだから山口くんはグッチーでしょうよ」
「………」
「あれ?もしかして月島くんはヤッマー派だった?いやあそれは流石にダサいと思うよー言いづらいし。あ、それともぐっさん派かな?」
「安心してください。お花畑なのは先輩の頭の中だけですから」
「んだとコラ月島コラァ、ぼけあほばーか」
「もう悪口言うのも面倒臭くなってきてるでしょ」
「おう、良くわかったね」
「先輩はわかりやすいですからね」
「んーそっか、今日はグッチーいないのかー…」
「…………あの、」
「んあー?」
「俺が、いるんですけど」