バレてしまっては仕方がないと、凛たちは正直に全てを話した。そんな彼らに近藤は協力を求めようとしたが、金にがめつい銀時が黙っている訳がなかった。

「協力?今そのロリ丸は俺たち一派の手の内にあるんだぜ?」

「瑠璃丸だ」

「こいつは取り引きだ。ポリ丸を返して欲しいならそれ相応の頼み方ってのがあんだろ。」

「瑠璃丸だ」

瑠璃丸の名前を間違えまくる銀時に近藤がいちいち訂正を入れてあげる。

「6割だ。そいつを捕まえた暁にはお前らもいろいろ貰えんだろ?その内6割で手を打ってやる」

「だから言いたくなかったんだ。」

「右に同じく」

銀時の滅茶苦茶な提案に土方は青筋を浮かべ、凛はため息をついた。

銀時は褒美がすでに入ったようなもんだと確信し、高笑いをあげたが、崖の上の光景に固まった。

沖田と神楽が対峙していたのだ。
2人の仲の悪さを知っている凛たちは何か嫌な予感がした。

そして、それは的中した。カブト相撲をやる気だったのだ。そして、神楽が自身のカブトとして出したのはやはり瑠璃丸だった。

「トシィ!!」

このままではまずいと、近藤は焦ったが、土方は落ち着いていた。

「まぁ、待て。総悟が勝てば労せず瑠璃丸が手に入る。ここは奴に任せよう。総悟も全て計算尽くで勝負に乗ってるんだろう。手荒なマネはしねーよ。そこまでバカな奴じゃねぇ。」

しかし、この予想は見事にはずれた。

「凶悪肉食虫カブトーンキング サド丸22号に勝てるかな?」

そう言い沖田が出したカブトムシは、瑠璃丸と比べ物にならないトラック並みの大きさのカブトムシだった。

そこまでバカなんですけどぉぉぉ!!

全員の心が一致した瞬間だった。

「おいぃぃぃぃ!ちょっと待てぇぇぇぇ!お…お前そんなもんで相撲とったらどうなると思ったんだぁ!?」

「粉々にしてやるぜィ」

土方の言葉に耳を傾けない沖田。

「そう!粉々になっちゃうから、神楽ちゃん!定春29号粉々になっちゃうよ!」

「ケンカはガタイじゃねぇ!度胸じゃぁぁ!」

銀時の言葉に耳を傾けない神楽。

「度胸があるのはお前だけだから!ボンボンなんだよ!ロリ丸は将軍に甘やかされて育てられた ただのボンボンなの!」

「だから銀ちゃん、瑠璃丸だって!」

名前間違いなんてこの際どうでも良いのに、銀時の言葉に思わずツッコンでしまうぐらいには、凛は今の危機的状況に焦っていた。

このままだと瑠璃丸の身が危ないが、崖が高すぎて1人で登ることは不可能だった。近藤が協力することを申し出るが、案の定 土方と銀時はどっちが土台になるかで争っていた。

しかし、そうこうしていても上は止まらない。その状況に、普段なら力を合わせない男4人の心が一致団結した。

「「「「おぉぉぉぉぉぉ」」」」

近藤、土方、新八の順で土台になり、銀時が見事に登りきったのだった。

「カーブートー狩りじゃぁぁぁあ!!」

瑠璃丸に衝突する前に、銀時がサド丸を蹴り倒した。

「よかった…!」

女だからということで、外された凛は上の状況に、ほっと息をついた。

神楽と沖田が勝負の邪魔をされたことに怒り、銀時に文句を言うが、それを彼の拳がおさめた。

「バッキャロォォォ!喧嘩ってもんはなァ!てめーら自身の土俵に上がって、てめーの拳でやるもんです!遊び半分で生き物の命をもて遊ぶんじゃねーよ!殺すぞコノヤロー!カブトだって、ミミズだって、アメンボだって、みんなみんな…」

メキッ


嫌な音がして、銀時が足元を見るとそこには潰れた瑠璃丸がいた。


「…みんなみんな死んじゃったけど友達なんだ…だから連帯責任でお願いします」

凛は目眩がした。


―――


後日、警察庁にいる松平に土方は報告に行っていた。

「で、見つかったのか?トシ」

「…ああ。まぁ見つかるには見つかったんだが、突然変異」

そこにいたのは、褌一丁で全身ハチミツまみれで兜を被った近藤だった。

「腹切れ」

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