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万事屋一行はカブト虫を獲るために森に来ていた。各々目的は定春29号を見つけること、お金のためと様々だが。
彼らが歩いていると、褌一丁の近藤が全身に蜂蜜を塗りたくって立っていたのを見た。
「銀さん。帰りましょうよ。この森怖いです。」
「身体中にハチミツ塗りたくってたネ」
「気にするな。妖精だ。妖精樹液の妖精だよ。ああして森を守ってるんだよ」
「でもなんか見たことある人だったんですけど…」
「ゴリね。ゴリだったネ」
「じゃあゴリラの妖精だ。ああしてゴリラを守ってるんだよ。」
万事屋一行は見なかったことにして、進むが、また奇妙な光景を目にした。土方が木にマヨネーズを塗りつけていたのだ。
「銀さん、やっぱり帰りましょうよ。この森怖いです。」
「マヨネーズ 木に塗りたくってたネ」
「気にするな。妖怪 魔妖根衛図だよ。ああして、縄張りにマーキングしてんだよ。」
「でも明らかに見たことある人だったんですけど」
「ニコ中ネ。ニコチン中毒だったアルネ。」
「じゃあ妖怪ニコチンだ。ああして2個チンコがあるんだよ」
万事屋が再び見ないことにして進んでいると、凛が森の動物たちに囲まれながら眠っているところだった。
「銀さん 帰りましょうよ。あんなに動物がいるとかこの森怖いです」
「姫ネ。姫だったネ」
「あれは森に迷い込んだま白雪姫だよ。意地悪な黒服どもにいびられて、最終的に毒リンゴによって眠ってしまったんだ。ということで、俺がキスして姫を起こしに行かなきゃな」
銀時が振り返り、凛がいたとこまで戻ろうとすると、木に大人の人ぐらいの大きさのあるカブトムシがいるのを発見した。
万事屋一行が大物だと喜び、そのカブトムシを木から落とし確認すると。
「何しやがんでェ」
沖田だった。
「オイ、何の騒ぎだ?」
騒ぎを聞きつけた、真選組が来て、万事屋と邂逅した。
「あっ!お前らこんなとこで何やってんだ!?」
「何やってんだって…全身ハチミツまみれの人に言う権利があると思ってんですか」
「これは職務質問だ。ちゃんと答えなさい。」
「職務ってお前、どんな職務についてたらハチミツまみれになるんですか」
沖田の鼻血を拭いながら、私でもそう思うわ、と新八と銀時の言葉に心の中で同意した。
「お前に説明する言われはねー」
「カブトムシとりだ」
「正直に言っちゃダメですよ…もうちょっとなんか…」
土方は嫌な予感がして銀時の質問を拒否したが、近藤があっさりと答えてしまった。土方と同じで嫌な予感がしていた凛はため息をついた。案の定、銀時は憤慨した。
「オイオイ、市民の税金しぼりとっておいて、バカンスですか。お前ら?馬鹿ンですか!?」
「こいつは立派な仕事だ。とにかく邪魔だからこの森から出て行け。」
近藤の言葉に自身も真剣なんだと神楽はかぶと狩りの理由を話し始めた。沖田との勝負に熱中して、自身のペットのフンコロガシを握りつぶしてしまったそうだ。
「誰が興奮させたか考えてみろ!誰が一番悪いか考えてみろ!」
「お前だろ」
神楽のよくわからない理屈に銀時は神楽の頭を叩いた。
「てか、篠崎さっき寝てただろ」
「カブトムシ用の罠を仕掛けたら、ついうたた寝してしまって…」
土方の言葉に気まずくなって、凛は目をそらした。
「昨日仕事で遅かったみたいだからな。今回は多めに見てやる」
土方はそう言い、凛の頭をぽんぽんと軽く撫でた。
「そう言えば総悟。お前また無茶なカブト狩りをしたらしいな。よせと言ったはずだ」
「マヨネーズでカブトムシとろうとするのは無茶じゃないんですか?」
「トシ、お前まだマヨネーズでとろうとしてたのか。無理だといっただろう。ハニー大作戦でいこう」
土方、沖田、近藤の言葉に現実を見ろというう意味を込めて、凛は鋭く突っ込んだ。
「いや、どれも無理ですから。普通に罠を仕掛けましょう。バナナ・焼酎とアズカバンの囚人でいきましょう」
「いや、マヨネーズ決死行でいこう」
「いや、なりきりウォーズエピソードVでいきやしょーや」
「いや、傷だらけのハニー湯煙殺人事件でいこう」
凛たちがもめていると、1人の隊士がカブトムシを発見した。
「「「カブト狩りじゃぁぁぁぁ!!」」」
と全員で向かったはいいものの、お互いに足を引っ張り引っ張られ、結局カブトムシは飛び去ってしまった。遠くから見つめていた凛、新八、山崎だけがそれを見送った。
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