「凛姉…」

仕事を終えた凛が1人で歩いていると、神楽が立っていた。彼女の今でも泣き出しそうな顔を見て、凛は公園のベンチで神楽の話を聞いた。

「神楽ちゃん…私はどっちが正解かなんて正直わからない。でも、神楽ちゃんがしたいようにすればいいよ。だって、お父さんとの絆も、銀ちゃんと新八くんとここで紡いだ絆も、どちらも確かに神楽ちゃんにとって家族の絆なんだから。だから、お父さんについていこうが、ここに残ろうが、一生会えなくなる訳じゃない。絆が消えて無くなるわけではない。どちらもそんな柔なもんじゃないでしょ?私だって、神楽ちゃんのこと本当の妹のように思ってるんだから、どちらを選んだとしてもまた絶対会えるって信じてる」

凛のその柔らかく温かい笑みに神楽は涙が溢れてきて、彼女に抱きついた。

「凛姉ぇぇぇ!」

神楽が泣き止むまで、凛はずっと頭を撫で続けた。


―――


翌日、凛は予定されている移送手続きの時間より早めに屯所を出た。なぜなら、寄りたいところがあったからだ。

ピンポーン

『万事屋 銀ちゃん』と書かれた店のインターホンを押したが誰も出なかったが、中に銀時がいると確信してい名前#は無断で入ることにした。

リビングに入ると、銀時がソファで眠っていた。

「銀ちゃん…」

凛は呼びかけるが、彼は起きなかった。しかし、凛は彼が狸寝入りをしている確信があり、そのまま話を続けた。

「銀ちゃんの考えてること何となくわかるよ。確かに銀ちゃんも私も本当の親子ってよくわからない。でも、親子の絆なら十分すぎるほど知っているはずよ。師であり、そして親でもあった先生…。先生がくれた教え、愛情、それはどれも本物だった。血の繋がりなんて関係ない。それは私たちがよく知っているはずよ。神楽ちゃんがどちらを選んだとしても、銀ちゃんは家族としてそれを笑って受け入れてあげて。」

それだけ言い、彼女は部屋を出た。

「まったく、不器用な人…」

去り際にもう一度、万事屋を見上げて彼女はターミナルに向かった。


―――ターミナル


ターミナルで無事に移送手続きを終えた凛は、帰ろうとしていた。

ガシャァァァァン!!!

すると、突如大きな音がし、異常を知らせる警報音が鳴り響いた。それに尋常じゃない状況を悟った凛は、例のエイリアンが原因と聞き、すぐにターミナルの係員に協力して一般人の避難誘導に回った。

一般人の避難誘導が完了し、係員も外に避難させた凛はそのまま、エイリアンの元に向かった。

ピリリリ

自身の携帯が鳴ったので、見てみると土方からだった。

「はい、篠崎です。」

「篠崎!今どこにいる?!」

「どこって…ターミナルの中ですけど」

土方の焦る声に凛はさっきまで、仕事してたのだから当然とばかりに言った。

「今すぐ脱出して、こっちに一旦合流しろ!」

「え…でもここからの方がすぐにエイリアンの中枢を狙えますから行かせてください」

「ダメだ!これは副長命令だ!」

なかなか折れない凛に、土方は彼女が逆らえないようついに副長命令として指示を出した。
しかし、そんな彼女の眼に映ったのは、神楽がエイリアンに捕まっている姿だった。

「申し訳ありません。その命令をきくことはできません。まだここに、私の護りたいものがあるからです!」

そしてすぐに電話を切った凛は、エイリアンが蔓延る中枢を目指し、かけていった。

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