沖田がテレビで見た、銀行立てこもりの犯人がエイリアンだとわかった真選組は現在、その銀行の周りを包囲していた。

「あーあーエイリアンに告ぐ。お前は完全に包囲されている。無駄な抵抗はやめて、大人しく投稿しなさいエイリアン。故郷のお袋さんも泣いてるぞ。そんなエイリアンにするために産んだんじゃないってな。エイリアンだろーが、人間だろーが、母ちゃん泣かす奴は最低だ。ねぇお袋さん?なんか言ってやってください」

沖田の意味があるか分からないエイリアンへの呼びかけでエイリアンの母親が来ていることが分かった。そうして、パトカーから出てきたのはエイリアンの母親…ではなく手作り感満載の着ぐるみを着た近藤だった。

「お母さん、もう知らないから!お母さん、もう3年前のあの時から息子はいない者だとグフッ」

近藤がエイリアンの母親の気持ちになりきって説得するが、突然背後からパトカーに轢かれた。

「「「局長ぉぉぉお!」」」

「エイリアンがなんぼのもんじゃぁぁい!」

「なんぼのもんじゃぁぁい!」

そのパトカーにいたのは、映画の影響をいまだ引きずっている土方と原田だった。

「いや、それエイリアンじゃありません。我らが局長です!」

凛はそう言い、近藤の手当を急いだ。

すると、何も音沙汰のなかった銀行の扉に人が出てくる気配がした。

「構え!」

真選組が沖田の指示のもと、一斉にバズーカを構えたが、出てきたのはハゲたおっさんと、彼に引きずられた神楽だった。

「いいから来いってんだよ。あれだァ。マロンパフェ食わしてやっからな。」

「ちょっ。離してヨ!離れて歩いてヨ!」

「なんだ?お父さんと歩くのがそんなには恥ずかしいのか?どこだ?どの辺が恥ずかしい?具体的に言え!お父さん直すから」

「もう取り返しのつかないところだヨ」

「神楽ちゃん。人間には取り返しのつかないことなんてないぞ。どんな過ちも必ず償える。」

「無理だヨ!一度死んだ毛根は帰ってこないヨ!」

「すいませーん。僕もマロンパフェいいっすかね?いや、ちょっと待て。やっぱフルーツパフェにしよっかな。そうしよ。」

その後、銀時と新八も出てきて、彼らは去っていった。あまりにも予想外の光景に真選組は理解が追いつかなかった。

「なに?」


―――


凛たちは、星海坊主が倒した寄生型エイリアンの死骸を回収していた。

「土方さん、こんな気味悪ィ死骸、一体何に使うんですかィ?」

「入国管理局の連中が持ってこいってさ。どっかのお偉いさんで、欲しがってるやつがいるんだとよ。趣味の悪い野郎もいたもんだ」

沖田がエイリアンの死骸を丁重に扱う様子を疑問に思い、土方に尋ねた。

「しかし星海坊主ってのは、いつもこんな化け物とやりあってるんですかィ?どっちが化け物かわかりゃしねーや。」

「おまけにあの怪力娘の親父だったとはァ。生活感の欠片もねぇ男だったが」

確かにあれは驚いたと、沖田と土方と同様に凛が星海坊主の姿を思い浮かべた。

「男ってやつには、2種類ある。1つは家族や仲間、自分の巣を守り安寧を求める防人タイプ。もう1つは、巣から出て獲物を求めてさすらう狩人タイプだ。あの男の瞳は、狩人というより獣に近い。大人しく巣に収まっているタマじゃあるまいよォ。もしかしたらあの娘、今まで寂しい想いをして生きてきたのかもしれないなァ」

近藤の言葉に、神楽ちゃん…と凛が物思いにふけっていると、土方に呼ばれた。

「篠崎、明日ターミナルに行ってくれないか?このエイリアンの移送手続きに、回収したのがうちだからってことで、誰か1人派遣しなきゃならねー。」

「はい。わかりました。」

まさかこの一言で、凛は自身があんな大事件に巻き込まれることになろうとは、彼女はまだ知らない。

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