まずは子供たちだけで依頼に行かせた凛たちは少し時間を空けてから、万事屋の敷居をまたいだ。

「酔狂な野郎ォだとは思っていたが、ここまでくるとバカだな。小物が1人で刃向かったところで、どうにかなる相手じゃねーんだよ。死ぬぜ。」

土方は煉獄関に向かおうとする銀時に立ちはだかった。凛はそんな土方のすぐ後ろに立っていた。

「てめーらには迷惑かけねーよ。どけ」

「別にてめーが死のうが構わん。ただ解せねー。わざわざ死にに行くってーのか?」

「行かなくても俺ァ死ぬんだよ。俺にはなァ心臓よりも大事な器官があるんだよ。そいつは見えねーが確かに俺の頭から股間をぶち抜いて俺の中に存在する。そいつがあるから俺ァ真っ直ぐ立ってられる。ふらふらしても真っ直ぐ歩いていける。ここで立ち止まったら、そいつが折れちまうのさ。魂が折れちまうんだよ。心臓が止まるなんてことより、俺にしたらそっちの方が一大事でねぇ。こいつァ老いぼれて腰が折れても、真っ直ぐでなきゃァいけねェ。」

銀時はそう言い、土方の横を通り過ぎ、万事屋を後にした。
凛は通り過ぎる銀時に、口元を緩めた。

「己の美学のために死ぬってか?とんだロマンチシズムだな」

「なにいってんすか?男はみんなロマンティストでしょ?」

「いやいや、女だってそうヨ」

「それじゃバランス悪すぎでしょ。男も女もバカになったらどうするんだよ。」

「それを今から試しに行くアルよ」

「お、おい!てめーら」

銀時に続き、新八と神楽も子供たちの宝物を手にして、土方の声にも止まらず行ってしまった。

「どいつもこいつもなんだってんだ」

「まったくバカな連中ですね。こんな物のために命をかけるなんて、バカそのものだ」

そう言いつつも、沖田も子供たちのおもちゃを手にして土方の前を通り過ぎた。

「ってお前!何してんだぁぁ!」

「すまねェ土方さん。俺もまたバカなもんでさ」

そんな沖田に土方は頭を抱えた。その隣で凛はけん玉を片手に笑った。

「ふふ たまには良いじゃないですか。そんなバカたちの集まりが私たち真選組なんですから。」

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