「近頃横行している辻斬りについて最新の情報が入った。たまたま現場を遠くから見てたやつがいて、そいつが言うには辻斬りの持ってる刀はまるで生き物のようだったっつー話だ。奴ァ、ますます過激になってきてる。夜間の見回り、今日から一層引きしめろ」

真選組での朝の会議で土方から、隊士たちに巷で話題の辻斬りについて伝えられていた。

「それじゃあ土方さん毎晩1人で大変ですね。頑張ってくだせェ」

全く心のこもってない応援をする沖田に対して、土方は青筋を浮かべた。

「なんで夜間の見回り、土方さん1人?今日の見回りは俺じゃなくて、お前が担当に入ってる。サボるんじゃねぇぞ」


―――


「凛さん!」

凛は昼休憩で、街を歩いていると新八とエリザベスに遭遇した。

あれ?こーちゃんがいない…めずらしい、と凛は思ったが、その原因は彼らの話で解決することになった。

「え?こーちゃんが行方不明?!」

桂が帰って来ず、彼の血まみれの所持品だけが発見されたのだ。万事屋に依頼しに来たエリザベスと共に新八は辻斬りの線を、神楽と定春は所持品から桂の行方を追ったいた。

「あのこーちゃんが辻斬りにやられるとは考えづらいけど…」

そう、顎に手を当てながら凛は考え込んだ。

「僕らもそう考えたんですけど、何かあったことは明白なので」

眉尻を下げて言う新八の肩に、凛は手を置いた。

「わかったわ。私もできる範囲で調べてみる。何かわかったら連絡するわね」


―――


夜間、凛は夜間の見回りの担当だったため暗い江戸の街を1人で歩いていた。辻斬りの影響か、いつもより静かだった。

辻斬りが警戒されている中でなぜ凛が1人だったのかというと、本来ペアのはずだった沖田が、昨晩 土方への嫌がらせグッズを作っていたため寝不足で先に寝てしまったからである。沖田に甘い凛は、まぁ1人でも大丈夫だろと思い、そのまま見回りに出た。

ドガァァァァン!!

大きな音が聞こえ、異常事態を察した凛は急いで音がした方向へ向かった。

そこには、銀時と新八が男と対面している光景があった。彼らの様子から2人が襲われてると判断した凛は男に背後から斬りかかった。

男の反応から、とった!と一太刀入れられると確信していた凛は、男の持つ刀から伸びた触手のようなものからの突然の攻撃に持てる限りの反射神経で、二の腕にかすり傷を負うだけで済んだ。

そのままの勢いで銀時と新八の前に護るようにして、男の前に立ちはだかった。

「大丈夫?!銀ちゃん!新八くん!」

「凛さん!」

新八は凛の登場に、汗が引いていくのを感じた。

男は確実に反応が遅れていた、なぜ?と思っていると、男の持つ刀を見て疑問が解けた。彼女は男の持つ刀が、まるで生き物のように生きている刀だったからだ。こいつが、例の辻斬りかと、男の顔を見ると、その顔は彼女の知る人物だった。

「あなたは…人斬り似蔵!」

その男は、凛が捜している高杉が率いている鬼兵隊の一員だった。

「これは、これは。この声は確か、真選組副長補佐だったかなァ。それとも夜叉白雪と言った方がいいかィ?」

凛はその言葉に鋭い目で似蔵を見据えた。

「夜叉白雪、あんたには絶対手を出すなってあの人には言われてるけどねェ、俺には関係ない。あんたは1番邪魔なんだよ。あの人を過去に縛ってる。消えろぉぉぉ!」

そう言い、凛に斬りかかろうとしたが、奉行所の面々が大勢駆けつけてきたことに気づいた似蔵は、一時退却した。

「銀さん!」

凛は似蔵の捜索は奉行所に任せて、新八が銀時を呼ぶ声に振り返った。

「銀ちゃん!」

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