人形姫・10



朝、頭を撫でられている感覚で目が覚めた。

「おはよう、名前」
「おはよ……」

寝ぼけながらも、自分を見下ろすカカシを見つけた。

「もう昼だよ」
「え!?」

起き上がって窓の方を見れば、燦々と日が差し込んでいた。無理もない、だって、昨夜は朝までカカシが寝させてくれなかったのだから。

「名前、一緒に風呂入ろうよ」
「え!?」

顔を赤くする名前に、カカシは可愛いなと思ってしまう。もう昨夜で全て見ているのに恥ずかしがるなんて。

「それに、この体、他の人には見せられないでしょ?もう大浴場には行けないね」

カカシが、名前の浴衣を胸元まで開いて白い肩をはだけさせた。赤く点々と残った跡は、朝までカカシに噛みつかれた場所の名残だった。
名前は観念した表情でカカシを見上げた。
カカシは、名前を外のテラスに連れて行く。待ちきれないかと言うかのように、名前の帯に手を掛けた。明るいところで見る名前の肌は、朝日を反射してキラキラと輝いていた。

「名前。出会ったよりも女らしくなったね」
「そ、そうかな?」
「うん、本当に綺麗」

カカシは、名前の細い首を持ち上げキスをした。空いた手で浴衣を床に落とし、身に着けているものを全て脱がす。

「今すぐにでも襲いたいんだけど」

昨夜はやり過ぎたからね、ゆっくり風呂に入ろうと言って、カカシは名前を自分の足の間に入れて湯船に浸かった。名前は、背中をカカシに預ける。澄んだ空気と、温かい温泉に包まれる。

「贅沢だね」
「そうだね」

カカシの手がとろりとした湯を掬い上げては、名前の肌に馴染ませていく。その手つきがくすぐったくて、クスクス笑ってしまった。

「名前の肌、スベスベ」
「なんだかカカシ、おじさんみたい」
「そりゃ、名前から見ればおじさんでしょうよ」
「そんなことないよ。カッコイイもの」

隠している顔も、撫ででくれる大きな手も、本当にずるいぐらい格好良くて。元の世界では、能力も家柄も申し分ない一流のお客様を相手にしてきたが、それでもカカシのような男は居なかった。エッチな本でさえ、彼のユーモアな一面に見えてしまうのだから天は二物でも何物でも与えるのだろう。

「名前は、本当に優しい子だね」
「また子供扱いする……」
「そんなことないよ」

カカシの人差し指が、名前の体の上を滑る。腕をなぞり、薄い肩で円を描くと鎖骨に触れて、脇腹に落ちて行く。4本の指が、さわさわと脇腹から臍に触れて名前の胸の膨らみを掴んだ。

「ちょっと……」
「子供にはこんなことしないでしょ?」
「……もう」
「おじさん、興奮してきたかも……」

名前の柔らかな膨らみを捉える。人差し指で先端を優しく刺激されれば、簡単に充血して固くなった。名前は息をかみ殺した。

「本当に、名前は全部可愛いね」

カカシの舌が、汗で滲んだ名前のうなじをペロリと舐める。カカシが細い首にガブリと噛み付いてきて、名前は悲鳴をあげた。本当に食べてしまおうと、カカシは歯を立てる。

「ここも、ここも……可愛い」
「やぁ……」

片手で胸の突起を転がしながら、空いた手で太腿を持ち上げた。名前の体はカカシからすれば、驚くほど細くて柔らかい。頼りなくて、弱くて。それが、カカシの庇護欲をそそる。
カカシは自らの膝に、名前の片膝を引っ掛けて足を強引に広げさせた。

「あ……」

特に熱くてトロリとした場所を見つけると指を侵入させる。名前は猫のような息を漏らした。

「声も可愛い」

何度か指を出し入れさせれば、内側の柔らかい壁がカカシの指に吸い付く。この柔らかいものが、昨夜自分を包み込んでいたのかと意識すれば、すぐに入れてしまいたい欲望に襲われた。
カカシの胸に背中を預け、名前は吐息を漏らしながらカカシを見上げていた。潤いを増した瞳は、カカシの男の部分を刺激するのに充分だった。
唇から溢れる喘ぎ声さえも勿体無いかと言う様に、カカシはキスで拾い上げる。

「名前、いいでしょ……?」

名前を立ち上がらせ、湯船の縁に手をつかせた。背中を抱き締めながら、彼女の1番柔らかい場所に自分の硬い部分を挿入した。

「ん……!」

片足を持ち上げられ、下から突き上げられる。その度に、チャプチャプと水が、風呂桶から溢れていった。

「いっぱい声、聞かせてよ……」

後ろから突き上げられる度に、名前の蜜口から甘い蜜が滴り落ちる。余りにも不安定な体勢で、カカシは名前を抱き続ける。名前は快感で体が痺れ、自らを支えることなど出来なくなっていた。
縋るような気持ちでカカシを見上げる。カカシは、すぐに名前の瞳に気付いて、唇をニッとあげた。
体がグルリと反転させられて、名前は助けてと言わんばかりに腕を首にまわした。
カカシは良い子だね、と言って両膝を抱えて繋がったまま持ち上げる。
目の前にカカシの顔があって、思わずキスをしてしまった。名前から深いキスをすることなんて初めてだった。

体が揺さぶられ、柔らかい内壁か乱暴に掻き乱される。体重が全て掛けられるせいか、深くカカシが名前の体を貫く。今まで開拓されていなかった場所にも、カカシが到達して更なる快感をもたらした。
頭が真っ白になり、名前はカカシの首にしがみついた。名前の耳元で、カカシも苦しそうに息を荒げる。彼も精一杯なんだと思うと、自分の体に温かい何かが込み上げてくるのがわかった。

「名前、愛してるよ……」
「わ、たしも」

愛してると続けようとしたが、カカシの激しい動きによって阻まれた。
繰り返される律動に、何度も何度も快楽の波が襲ってくる。押して押して押して、引くことのない快楽に、このままでは死んでしまうと思った。

死んじゃう、縋るように呟くと、一緒に果てよう、と耳元で囁かれた。
カカシの動きが一層激しくなり、名前の目の前は真っ白になった。





目を覚ますと、頭に暖かい風を感じた。背中にも温かみを感じて、カカシの体にもたれ掛かっているんだと分かった。見上げれば、カカシがドライヤーで髪を乾かしてくれていた。

「名前、おはよう」
「……おは」

名前は、先程までの行為を思い出し体を起こした。そう、お風呂で……。

「わ!わたし!あれ!?」

カカシはニコニコと笑って、名前を抱き寄せた。

「激しくしてごめんね」
「えっと……私」
「名前、気持ち良すぎて失神しちゃってたよ」
「う、うそ……」

もしかして、と名前は自分の体を見下ろす。
体には、浴衣が軽く掛けられているだけで、裸同然だった。名前は慌てて飛び上がり、袖を通すと帯を巻いた。浴衣を整え、やっと一息ついた。
髪を耳に掛け、カカシを横目で見ればニコニコと笑っている。あ、この笑顔の時のカカシは良からぬことを考えていると名前は知っていた。身の危険を感じるが、カカシによって疲弊した体は簡単にうごかない。

ドライヤーのスイッチを切って、カカシは名前に馬乗りになった。

「え、カカシ……嘘よね?」
「名前の浴衣姿が可愛過ぎるのが悪いんだよ?」

昨夜から何度目だろうか。カカシが名前の浴衣の胸元をはだけさせると、柔らかい胸に顔を埋めた。

「カカシ……?」
「俺、かなり興奮してるみたい……」

カカシの舌が器用に名前の胸の突起を吸い上げる。

「も、むり……」

名前の微かな叫びは、甘い声に包まれてカカシには届かなかった。先程の行為から時間も経っていないせいか、まだ充血したままの濡れたそこにカカシは再び挿入する。

もう体がもたないと思った。
カカシにとって、こんなの朝飯前なんだろう。昨夜から抱かれ続けて、名前の体は簡単に絶頂を迎えるように変えられていた。きっとこの身体は、本当にカカシ以外受け入れられないように変えられてしまったんだ。

あっと言う間に名前は絶頂を迎え、体は震えあがった。

「もう、カカシ……」
「ごめん」

カカシは、名前の浴衣を整えると抱き締めた。
こんなにも自分に制御が利かなくなるのかと、カカシ自身驚いていた。里から離れて現実を忘れ、名前を独占できた喜びのせいか。まさか、こんなに名前を抱いても抱いても足りないくらいに興奮するなんて。下手したら自分が10代だった頃よりも興奮してしまっていたかもしれない。

「女将さんに予約して貰った店があるから、今日はそこに食べに行こうか」
「嬉しい、私、お腹ペコペコ」
「俺は名前を食べて、お腹いっぱいなんだけどね」
「やっぱりおじさんなんだから……」

嬉しそうにフニャリと笑う名前の頬を、手の平で優しく包み込むとカカシは額から唇に順番にキスを落とした。

「あー、幸せ」
「私も幸せ」
「じゃあ、ずっとこうしてる?俺はまだまだ元気だよ」
「あ、明日こそは観光させてね!みんなにお土産買わなきゃ行けないし!」

なーんだ、残念とカカシは肩を落とす。カカシのあまりにも素直すぎる態度に、上がる口角を抑えきれずにいた。


ー38ー

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