雪がしんしんと降りしきる中、私は朝学校へ行くための支度を始めた。
「…おはよ」
「おはよ、寝癖ひどいよ」
「…ん」
十四郎さんは朝がかなり弱い。同棲生活にも慣れはじめ次第に彼という人間がどんな人格を持った人なのかが分かってきた。朝が弱い以外にも、コーヒーが好き(ミルクなし角砂糖ひとつ)、文系人間、夜の散歩が好きなどいろいろなことが分かってきた。
「ご飯ですよ、食べるから起きて」
「んー…」
「ほら起きて」
彼の目の前にマヨネーズを出すと目をごしごしと擦り、どんぶりいっぱいにそれをかけた。正直最初のうちは見ていられなかったが…、慣れとは恐ろしいものだと思う。
「いただきます…」
「どうぞ」
ジュジュジュという音を立てながらマヨ丼を口にほおばる彼を見て少し和む。
「あ、やばいもう時間だ」
「え、もう?」
「うん、お昼はもう作って冷蔵庫に入れておいたから温めて食べてね。いってきます」
「まて、」
「え?」
振り返ると彼の唇が私の頬にちゅ、と当たった。
「いってらっしゃいのキス忘れてた」
「なっ!」
そういうの照れるから要らないんですけど!