小説 | ナノ


 俺、鯰尾藤四郎の最近の趣味は主に触る事だ。最初のきっかけは主が俺の髪を執拗に触ってくるから、だった。鯰尾くんの髪の毛はさらさらだね。羨ましい。そう言う主の髪をそっと掬ってみたのを覚えている。主の髪の毛の方がさらさらのふわふわで、いい匂いがして。なんだかたまらなくなって、そのまま髪に口吸いをして。そうしたら主は顔を真っ赤にして俯いたんだ。そんな可愛らしい主を見るのははじめてだったから、それにすごい胸を奪われた。
 それから事あるごとに主に触るようにした。ある時は手を、ある時は髪、頬、どこを触っても主は顔を真っ赤にして狼狽える。鯰尾くんなにするの!そう言って慌てる。
 そんなことばっかりしているから触るだけじゃ足りなくなってきて、主にいろんなことをしてみたくなった。たとえば抱きしめてみたり、唇に口吸いしてみたり、だとか。

「ねえ、主」
「なに鯰尾くん、あんまり触るとおこるからね」

 そんなこと言っても全然怖くないよ。いつも優しい主だから、俺のことを全部受け止めてくれる主だから、きっともっと触れたいと思うんだなあ、そう改めて感じた。

「今日はさ、いつもと違う事しよう」
「触る以外の?」
「そう、ふつうに触らない。もっとすごいこと」

 口吸い、とか、させてください。そう主の耳元で囁けば、主は真っ赤に顔を染める。ああ、可愛いなあ。冗談でしょう、私の事をからかっているんでしょうと言う主の頬にするりと手を滑らせて、抱き寄せた。これだけ近かったらわかるよね、俺だってすごくドキドキしていること。緊張していること。ただ楽しいっていうだけじゃない、俺は主が大好きだから、いとおしいからこういう事をするんだって、今から行動で解ってもらうんだ。

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