とおいむかしのきおく


いつも一緒に居た。

泣いたり笑ったり怒ったり忙しいヤツで、たまに殴り合い(とまではいかないけど)の喧嘩だってした。でもすぐに仲直りして、また一緒に遊んでる。俺とアイツは切っても切れない絆で結ばれてる…そう思っていた。


「そういえば、名前ちゃんまたバイクで暴走してたわよ。」

「…ふーん」

「この前は制服でタバコ吸ってたし、参っちゃうわねー。」


そんなことは、もう遠い昔の話。小学生の頃はお互いを親友、だとか馬鹿げた事言ってたけど、今となってはただの顔見知りに過ぎない。


「お父さんが再婚してからよね、名前ちゃんが不良になっちゃったのって」

「覚えてねーよ、そんな昔の話」

「あ、ちょっと一馬!お弁当忘れてる!」


名前の父親は、名前と俺が小6の時に再婚した。どうやら新しい家族と上手くいっていなかったらしく、家に帰らない事が度々あったそうだ。

俺はちょうどその頃、サッカーが忙しくなり名前にかまってやれなくなっていた。そして、一回も会うことのないまま、中学に入学。名前は初日から茶髪ミニスカ登校で、同級生からは一目置かれ、先輩に睨まれても決して屈しなかった。

名前は変わってしまった。俺は最初は挨拶くらいはしていたが、サッカー部の顧問に名前と関わってるってだけで目をつけられてしまい、以来お互いほぼ無視状態。たぶん、そのせいもあるのだろう、あいつとは全く接点がなくなり、話すことも学校以外で会うこともなくなった。

そして俺らは高校生になり、名前とは別の高校に進んだため、見かけることさえなくなってしまった。


「あたし一馬と結婚したいな」

「俺も名前と結婚したい。これからもずっと一緒な。」


懐かしい記憶。俺らがまだ小さい頃に名前と交わした約束。

もう二度と守られることがない約束、そう思っていた…





20101110


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