仁王雅治は中学の時のクラスメイトだった。お互い仲が良かったわけでも接点があったわけでもない。むしろあたしは人見知りだから彼とほとんど話した事がなかった。

きっかけは中2の時。また雅治と同じクラスで、相変わらず女の子に騒がれてて、仁王くんはモテるなー、くらいにしか思っていなかった。

ある日あたしは雅治と二人で日直で一緒に日誌を書いていて、その時に初めてまともに会話した。


「仁王くん、部活の時間大丈夫?」


この日は運悪く先生に大量の仕事を押し付けられてしまって、かなり時間がかかってしまった。


「ああ、大丈夫ぜよ。たぶんもう部活は終わっとるし」

「ごめんねー。あたしが仕事遅いから」

「そんな事ないナリ。俺も日直じゃき、最後まで一緒にやるぜよ」


あたしは正直仁王くんが苦手だった。クール、というかあたしには冷たく感じた。詐欺師と言われてるだけあって本当の感情を出さずに包み隠してる感じがあったから。

あともう一つ。
女なら誰彼構わず手を出すチャラいところも。近付いてくる女の子が居たら、見境なくエッチしてるって噂で聞いた。実際あたしの友達も仁王くんに手出されてすぐ捨てられてたし。

とりあえず早く日誌終わらせなきゃ。あまり彼と一緒に居たくない。


「ふー、やっと終わったよ。あとはあたしが先生に出しとくから仁王くんは先に帰っててくださいな。」

「ああ、そうするぜよ。お疲れさん」


わざとゆっくり職員室に行って先生に日誌を渡す。職員室に入った途端、先生がやれ化粧が濃いだの、やれ髪が茶色いだのうるさかった。でも今日はこれが時間稼ぎになった。

しばらく先生に説教されて教室に戻った。部活組はもうとっくに帰っている時間だし、仁王くんもきっと帰っただろう。あたしは誰もいないと思って教室のドアを開けようとした、その時。



仁王くんと…一緒に居るのは…、女の子…?



しばらく見てると女の子が仁王くんにキスをして、仁王くんもそれに応えていた。

や、やばい。変なトコ見ちゃった!いや違う、それよりあたしのカバン。教室の中にカバン置きっぱなしだった。どうしよう。たぶんこれからエッチするんだよね…。やだ、終わるまで待ってなきゃいけないのかな…。

色々考えてたら仁王くんと目が合った。うわ、超気まずい。とりあえず早足で逃て、終わるまで屋上に居ることにした。





ぼーっと屋上で座っていたら、いきなりドアが開いた。ま、まさか仁王くん?


「苗字。」


やばい、さっきの事があったから気まずい。あ、でも終わったから知らせに来てくれたのかな。


「いやー…、あの、のぞき見するつもりなかったのよ。ただ、カバン取りたいなーって思いまして。その…も、もう終わったんだよね?」

「お前に見られてたせいで気になって集中出来なかったナリ。責任取りんしゃい」

「せ、責任…?」





「ヤらせろ。」





20101017



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