雅治とよりを戻して、数ヶ月。侑士には何度も引き止められたけど、あたしは「やっぱり雅治が好きなの」と一点張りをしていたら、諦めてくれた。
本当は、諦めて欲しくなかったし、あたしも侑士をまだ愛していた。
でも今度またあたしが離れたら、雅治は本当に今度こそ死んでしまうかもしれない。あたしは自分のせいで誰かが死ぬのが嫌だったから、自分の気持ちに嘘をついた。
「名前、もう学校の時間じゃ、早く起きんしゃい。」
「んー…、あと5分…」
「俺は朝練あるき、先に行くぜよ。名前…、」
雅治があたしにキスをした。
学校に行く時、雅治はいつもあたしにキスをしてから部屋を出ていく。
あの日以来、雅治はあたしの家によく泊まるようになり、いつの間にか半同棲みたいな感じになっていた。
「いってらっしゃい、雅治」
「名前も遅刻せんようにな。」
あたしは、立海には戻らなかった。
太郎ちゃんが色々頑張って転校させてくれたのに、簡単に氷帝を辞めるわけにはいかない。そう雅治に話したらなんとか分かってくれて、大学は必ず立海に行く事を条件とされ、今も氷帝に通っている。
侑士とは同じクラスだけど席も離れたし、今では学校で顔を合わせる程度になっていた。しかも新しく彼女も出来たみたいだから、あたし達の間にはもう何も関わり合う理由なんてなくなった。
重い足取りで学校へ行く。
雅治に遅刻しないように言われたけど二度寝してしまって結局遅刻してしまった。
「侑士、今日部活ないんでしょ?侑士の家行っていい?」
「ええよ。明日も休みやし、泊まってってもええで。」
「じゃあ泊まっちゃおっかなー。」
休み時間の度にうちのクラスに来る、侑士の彼女。可愛いし性格もいいみたいだし、お似合いだった。あたしみたいなケバい子より、キレイ系な子のが隣に居て似合うと思う。うんうん、きっとそうだ。あたしが隣に居ても侑士には不釣り合いだ。
自分にそう言い聞かせてはいたものの、あたしはある日目撃してしまう。
「あっ、ん、侑士…っ」
「学校ですんのも興奮するやろ?」
「あっ、もうっ…!」
侑士と彼女が、空き教室でセックスをしているのを見かけてしまった。
ほんの数ヶ月前は侑士はその眼差しをあたしに向けていて、その唇はあたしの唇や肌をなぞっていて、その綺麗な指があたしの中を掻き回して、その大きなぺニスであたしをメチャクチャに突き上げていた、のに…
「ひっ、く、うっ、ひっ、ううっ…」
あたしは気づくと泣いていた。
ごめんね、雅治。あたしまだ侑士の事こんなにも愛してるよ。
もうどんなに願っても戻れない、あたしの大好きだったあの人。
20110111