風が、冷たい。
名前ちゃんの体が冷えないようにきつく抱きしめながら何度もキスをした。
「好きや」
「…」
「名前ちゃんが好きや」
「忍足くん…」
名前ちゃんは困ったような顔をして俺を見た。俺、振られるんやろか。
「ごめん、あたし…忍足くんの事そういう風に見れない」
「セックスまでしたのに?」
「うん…ごめんね…」
せやったら、キスとか抱きしめるのとかも拒んでや。期待してまうやろ。
「あとね、あたし…」
「何や?」
「前の学校に戻るの。それと、忍足くんとはもうああいう事はしない、から…」
ごめんね。
そう一言俺に告げて、名前ちゃんは屋上を出て行った。
…何や、かっこわるいな俺。自分から告るなんて初めてやったのに呆気なく振られて…激ダサやな。(宍戸、パクって堪忍な)
気が進まんから、今日はサボりや。授業なんか受けてられへん。一人寂しく感傷に浸ったる。そう思って帰ろうとした瞬間、ある疑問が俺の中で湧いた。
そういや、さっき名前ちゃん、前の学校に戻るって言うてたけど…何でやろ?そもそもそんな事出来んのか?てゆーか、何で転校して来たんやろ。転校して来たのに戻るって、何かおかしい気がすんねんけど。
頭の中で考えても答えなんか出て来るわけないやんな。
「よしっ。」
携帯を取出してある人物にメールを送る。
転校生ちゃんの素性が知りたいねん。調べてくれへんか?
送信。そして数分後、メールの送信相手から着信がきた。
「授業中やないの?」
「お前こそ授業中じゃないのかよ」
「あー、俺はサボりや、」
「フッ…まあ、いい。ところでお前、あの転校生について調べて欲しいって言ったよな」
「ああ。そうや。お前やったら出来るやろ?」
「フン、俺様をナメるなよ。もうアイツについては調査済みだ」
「さっすが景ちゃん。脱帽や。」
「色々と気になる事があってな。まあ言ってしまえばアイツは…」
ゴトッ。
跡部の言葉を聞いて、思わず携帯を落としてしまった。
「アイツは、前の学校で性欲処理をさせられていたそうだ」
20101118