「何や最近元気ないなぁ、転校生ちゃん」

「…名前です」


もういい加減飽きただろうこのやり取りだが、最近変わった事がひとつ。いや、ふたつ。

ひとつは、前は転校生ちゃんて呼んだら苗字で呼べと返されてたが最近は名前で呼んで欲しいんやろか、「…名前です」と返してくれるようになった。

もう一つは、最近名前ちゃんに元気がないってこと。元々元気でキャピキャピしてるような子でもなかったんやけど、いつもの数倍元気ないし、暗い。


「何かあったんか?」

「んーん、何もないよ。それより早く行かなきゃ。次移動教室だから」


化粧で超ごまかしとるけど、目が赤く充血して瞼も腫れてる。昨日泣いたんやろか。

立ち上がろうとする名前ちゃんの腕を掴んで移動教室とは別の方向へ連れて行った。


「忍足くん…どう見てもここは屋上なんですが」

「せやな。」

「教室間違えてるよ」

「せやな。」

「…ここで、えっち、したいの?」

「ばっ…」


馬鹿言うなや。そりゃ確かに名前ちゃんとエッチはしたいけど、俺かて常に下心持ち合わせてるわけやない。名前ちゃんが元気なさそうやったから心配してただけやのに。


「確かにエッチはしたいで。せやけど、」


名前ちゃんが元気ないのが嫌なんや、それを言う前に抱きしめた。


「忍足くん…何で私にこんなに優しくしてくれるの?」


私たち、セフレじゃないの?

そらそうや。名前ちゃんにとっては俺はただのセフレ。数回ヤっただけのクラスメイトやから。

でもな、それだけじゃないねん。俺にとっては。名前ちゃんが元気なかったら心配やし。それに一緒におって楽しくて安心する。この前の電話の相手や、名前ちゃんを泣かしたヤツの事が気になるのも…


「好き、やから。」


名前ちゃんの両手を掴んで、キスをした。



(そうでもせんと、またキス拒否られるかもしれんかったから)





20101109



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