愛し君へ
※「誰よりも愛した人」の続編
裸のまま土方さんに抱きしめられている私。それを軽蔑するかのように睨みつける沖田さん。
ああもう彼には嫌われてしまったんだろう。誰にでも脚を開く淫らな女だと思われたのだろう。だって彼の目はこんなにも冷たい。
「とりあえず名前ちゃんから手を離してください、土方さん」
沖田さんはそう言って土方さんから無理矢理私を引きはがして、自分の腕の中に私を収めた。彼に抱きしめられた事が嬉しくて私は沖田さんの背中に手を回した。
「この子は僕のなんですから、僕の許可無しに手をださないてくださいよ」
沖田さんは何て勝手な人なんだろう。自分には女の人がたくさん居るくせに私を手放そうとしない。私だけを見てくれない。なのに私を独占しようとする。
悲しいのに貴方に愛されていると勘違いしてしまいそうになって、胸が苦しくなる。
「じゃあ、俺が千鶴とは切るって言ったら、名前は戻って来るのか?」
「え…?」
土方さんが千鶴ちゃんとの関係を切ると言い出すなんて思ってもみなかった。けれど土方さんの表情は真剣そのもので、真っ直ぐに私を見つめていた。
「私は…っ」
言いかけた瞬間、沖田さんに唇を塞がれた。
舌で口をこじ開け、吸い付くように舌を絡められ、貪られた。飲みきれなかった唾液がつうっと顎を伝って、床に落ちた。
「名前ちゃんはもう僕のものなんですよ。土方さんには渡さない…」
そう言ってまた私に口づける沖田さん。私は正直迷っていた。土方さんは私を一途に愛してくれると言っていて、一方沖田さんはそれを言ってくれない。
沖田さんに、私だけを見て欲しいのに。
このまま沖田さんのところに居ても苦しい思いをするだけなんじゃないか。それならいっそ土方さんの元へ行って、一途に愛される事が女の幸せなんじゃないか。そう思って、私は思わず土方さんに手を伸ばそうとした。
「…っ、駄目だよ、」
その手を沖田さんが強く掴んで私を更に強く抱きしめた。彼の表情からは怒りよりも焦りが浮かんでいた。
「…とりあえず俺は帰るからな。これ以上好きな女が他の男に口づけられるとこなんか見てられねぇ」
けどな…、と土方さんは続けた。
「俺はお前をいつか絶対に迎えに来る。総司には渡さねぇ。千鶴の事は早く決着をつけるから、お前はそれまで待ってろ」
そう言って土方さんは出て行った。
それから沖田さんは何も言わないまま私の顎を掴んでまた口づけた。舌を絡めながら何度も吸って、歯列をも舐められながら私も必死にそれに応えた。
(沖田さん…焦ってる…?)
沖田さんからはいつもの余裕そうな様子が伺えない。やっと唇を離して、今度は首筋に顔を埋めてキツめに吸われた。
「ん、はぁっ…」
くすぐったくて沖田さんの胸を押し返してもビクともせず、唇は更に下へと移動していった。
胸にも赤い痕をつけられ、それから胸をかぷり、と口に含んだ。
「はあ…っ、沖田さん…っ」
先端をちろちろと舐められて、時折吸われる。ちゅ、ちゅ、と胸を吸う音が厭らしくて私は蜜を溢れさせてしまった。
沖田さんの指がソコに触れ濡れているのが分かってしまい恥ずかしくなった。足を閉じようとしたらそれを許さないと言わんばかりに広げられ、顔を埋められた。
「ひゃぁっ…!あ、んっ、ぁあっ…」
「土方さんにも此処を舐めさせたの?こんな風に土方さんにも厭らしい声を聞かせたの?」
「はぁ、ふぁっ…、」
「じゅる、んっ、ちゅっ、答えて、名前…」
ソコに吸い付き、激しく舐める沖田さん。途中途中に紡がれる言葉に答える余裕なんてなくて、ただひたすら頭を振って快楽に耐えた。
「こんな厭らしくてだらしない穴じゃすぐに飽きられてまた捨てられるのがオチだよ」
「はぁっ、ああぁ…っ!」
ぢゅるるっ…!
一層激しく敏感な突起を吸われ、私は達してしまった。
乱れた息を整う間もなく、すぐに沖田さんの大きくなったモノが挿入された。
「あっ…、あっ!」
「僕じゃなきゃ、名前の厭らしい穴に蓋してあげられない、よ…!」
「あーっ…!あっ、あっ」
「だから、土方さんの所になんか、行かないでよ…っ」
激しくなる律動の中で、彼の顔が悲しそうに歪んだのが見えた。切なくて、今にも泣いてしまいそうな顔だった。
「お、きた、さん、だって…、」
揺さぶられる中、私も必死に言葉を紡いだ。
「沖田さん、だって、私だけじゃ、ないのに…っ」
そう。沖田さんは私を一番になんか見てくれていないのに。何で私をこうも独占しようとするんだろう。
沖田さんは私の言葉に反応したのか、さらに激しく腰を打ち付け子宮を絶え間無く突いてきた。
「あっ!んん、はぁ…っ」
「僕は、もうずっと、君しか見てないよ…っ」
「嘘つき…っ、だって、沖田さんは…、ああっ」
「本当だよ…っ、君が土方さんに捨てられたあの日から、ずっと…ね…!」
私の腰を掴んで前後に激しく揺さぶり、これでもかというくらい奥に蔭茎を叩きつける沖田さん。奥を突かれる感覚と入口を擦られる感触に意識が飛びそうになるけれど、それでも必死に沖田さんの言葉を聞いていた。
「は、ぁ…っ、好きだよ名前ちゃん…っ、僕には、君しかいない…っ」
「あっ、沖田、さっ」
「愛してる…!君だけを、ずっと…っ、く、はぁっ…!」
「あぁぁーっ…!」
ドクドクと最奥に精液が注がれ、同時に私も達してしまった。沖田さんは挿入したまま私をギュッと抱きしめ、耳元で縋るように囁いた。
「土方さんの所へ行かないで…ずっと僕の側に居て…愛してるんだ、名前…」
「沖田さん…」
彼が愛おしくて堪らなくて、私も沖田さんを抱きしめ返した。体に伝わる彼の温もりが温かくて優しくて、涙が溢れた。
「名前、沖田さん、じゃなくて、名前で呼んで…?」
「総司…さん…」
「そう、そうだよ名前…。名前、愛してる」
彼もまた泣いていた。縋るように私の体を抱いて、何度も愛してると囁いてくれた。
私は何て愚かだったのだろう。彼はこんなにも私を愛してくれていたのに。私はそれに気付かず彼を疑って、あまつさえ土方さんに逃げようとしていた。
総司さんの頬に手を当て、そっと唇に口づけた。愛おしむように、何度も何度も。
「私も…愛しています…総司さん…あなただけを」
愛しい君へ捧げよう
愛していると、何度でも。
20111223
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