今日、東京は初雪らしい。 買ったばかりの車を運転して向かうのはケーキ屋。あいつが大好きな苺がたくさん乗ってるケーキと、俺が好きな林檎のタルトを買ってあいつん家に車を走らせた。 プロになってからなかなか行けなかったあいつの部屋。クリスマスイブに休みが取れたなんて凄い偶然だった。 付き合っているわけでも、あいつに好かれているわけでもない。ただ俺が寂しさを埋めてやりたかった。 「一馬お疲れー!」 あいつはもう既に一杯やっていたみたいで机の上にはチューハイの空き缶が置いてあった。そんなに酒強くないくせにぐびぐびとまるで一気するかのように二本目を飲み干していく名前。俺は慌ててその缶を取り上げた。 「俺がまだ飲んでねーのに一人で酔っ払ってんなよ」 「えー、だって一馬来るの遅いんだもん」 一応これでも予定時刻より30分以上早く着いてんだけどな。まあこいつにそれを言っても無駄だから俺も冷蔵庫からビールを取り出して飲んだ。 男と女が部屋に二人きり。酒も入ってきたとなればやる事は一つしかない。 「ぁっ…、かず、まぁ…っ」 セーターの中に手を潜らせてブラジャーをずらして名前の胸を揉んだ。名前は酔っているせいもあるのか頬を赤くしてまるで誘っているかのように俺の名前を呼んだ。 「料理、冷めちゃう…っ」 「後でレンジかけりゃいいだろ。それより今は名前食う方が先」 「ヘタレのくせに、生意気っ…」 「うるせ」 名前も減らず口を叩いてる割には乳首を硬くして余裕のなさそうな表情で俺を見つめてきた。 ―――ああ、この顔だ。この顔に俺は弱い。もっともっとと、虐めて欲しいって顔が。 名前の着ているセーターもブラジャーも脱がして床に放り投げた。履いていたジーンズも脱がして下着姿になった名前の胸元にキスをして吸い付く。 「きゃぁっ…、ん、痕、つけないで…っ」 「どうせ年内にはあいつに会わないんだろ?すぐ消えるから心配すんな」 「あ…っ!」 散々痕を付けた唇を胸の先端に移動させて今度は乳首を吸ってやった。両手で胸を揉みながら吸ってやると名前の腰が揺れてこいつも満更ではないことに嬉しくなり、口元が自然と緩んだ。 「腰揺れてる。お前こうされんの好きだもんな」 「はぁ…っ、ぁんっ、す、きぃ…っ」 「こういう時は素直だもんなー。下も触って欲しい?」 「うん…っ、触って、ぇ…!」 右手でパンツの上から擦ってやればもう大洪水。クリトリスを摘んでやればビクッと体が反応して俺にしがみついてきた。 その姿が可愛くて、名前のまんこに顔を近付けて下着をずらし、夢中でしゃぶりついた。 「ふぁっ…!あ、あっ、かず、まぁっ…」 「じゅる…っ、ん、すっげ、舐めても舐めても止まんない」 「あ、あぁっ…、そこ、だめ、ぇっ…!」 「イきそう?」 「ん、んっ…、もう、イっちゃう…………、え…?」 名前がイく寸前のところで舌を離した。すると案の定物欲しそうな顔をして目を潤ませながら俺を見てきた。 イきたいなら、ちゃんとおねだりしなきゃ、な? 名前は俺のそういう所も全部分かってるから、自分で下着を脱ぎ捨てて指でまんこをぱっくり開いて、濡れたソコを見せ付けてきた。 「一馬の、ちょうだい…?」 「ダメ。ちゃんと教えただろ?」 「…、一馬のおちんちんで、私のまんこ、突いてくださいっ…」 名前にヤラシイ言葉を言わせているのが俺だと思うとひどく興奮して、手早くズボンを脱いで名前の中に入れてやった。 指で慣らしていないせいかぎゅうぎゅうに締め付けてきて、早くも持っていかれそうになる。 でも、それじゃ男が廃るってモンだ。 吐精感を抑え名前の足をこれでもかというくらい開かせて、奥に奥に打ち付けてやった。 「ひゃぁっ、うっ…!すご、い、よぉ…!」 「…はぁっ、すっげ、キツい…っ」 「あっ、あっ、かずまぁ、激し、よ…っ!」 「激しいのが、好きだろ…っ?」 名前がイきかけたのを確認して、名前の体を起こして座位の体制に持っていく。名前の体をギュッと抱いて下から突いてやれば、名前も俺の背中に腕を回し必死にしがみついてきた。 「あ、あっ、奥に、当たる、ぅ…っ」 「名前はこれが大好きだもんな。ほら、もっとしてやるよ…!」 「あぁっ…!は、ぁっ…、もう、だめっ…!」 「んっ…、俺も、もう限界…、」 名前の体をゆっくり倒してやって正常位に戻して、一際激しく腰を打ち付けた。激しくするたびにイきそうなのか名前の中がキュウキュウと締まって、俺もイきそうになる。 「もう、出すぞ…っ、」 「ひあっ、ぁ、わたし、も、イく…っ!」 「名前、名前…っ、イクっ…!」 「ああぁー…っ!!」 イク寸前に中から引き抜いて名前の太股に射精した。溜まってた分が一気に出たから有り得ない量の精子が名前の太股に飛んだ。故に射精時間も長い。 名前はその様子を見ながら嬉しそうに笑っていた。こいつは人の射精するところを見るのが好きなんだとか。とんだ変態だ。 「いっぱい出たね…。名前のおまんこ気持ち良かった?」 「ああ、最高だった。この分じゃ年内もう一回会いに来るかもなー…」 俺がそう言えば名前は僅かに顔を曇らせた。せっかくセックスが終わってこれからがクリスマスパーティーだってのに、なんでそんな顔してんだよ。 名前を元気づけてやろうと思ってしまっていたケーキを冷蔵庫から出して名前に見せてやった。 「お前の好きな苺ショート。こっちは俺のだから食うなよ」 「さすがに一馬の分までは食べないってばー!」 あ…、良かった、いつもの名前だ。嬉しそうにケーキを見ながら苺だけ最初に食べて美味しいと笑う、名前。俺の大好きな表情。 「でさ、31日もお前ん家来ようと思うんだけどさ、お前やっぱり餅よりケーキ食いたい派?」 名前はデザートは必ずケーキだから、どうせまた苺ショートを買わされる羽目になるんだろうなと思いつつも訪ねてみればまた名前の顔が曇った。 「名前どうしたんだよ?今日何かおかしくねーか?」 「あのね、一馬…」 ―――私、明日から大阪行くんだ。 名前の言っている言葉の意味がよく分からなかった。 確かに名前の彼氏は俺の親友でもある若菜結人で、結人は大阪に住んでいるから、彼氏の所へ行くなんてごく当たり前の事なのだろう。でも、これじゃまるで… 「一馬とは、もう会えない。私、結人と結婚するんだ…」 何だよそれ。俺は名前が寂しいって言うから休みの日は必ず名前に会いに来て、名前の好きなケーキ買ってきて、何回も体を重ねてきたというのに。もう俺は用済みって事かよ…! 「明日…、引っ越すのか?それにしても荷物の準備とかされてないみたいだけど」 「…うん。結人がこっちで試合あった時とかはここに来ようと思って」 「何だよそれ…、何で今まで黙ってたんだよ…?」 俺は、名前が好きで好きでしょうがなくて、だから休みの日に一番に会いに行くのは決まって名前だったし、無理をしてでも会いに来たっていうのに。 もう俺は名前にとって、必要ない男なのかよ…? 「ごめんね。でももう決めたの。結人とは別れようと何回も思ったけどやっぱり駄目だった。私は結人が好きだから」 「…そっか」 悔しくて泣きたくなった。でも好きな女の前で泣くなんて格好悪いから、名前を後ろから抱きしめて最後の感触を確かめながら聞いた。 「名前、俺の事は少しでも好きでいてくれてた?」 名前は俺の腕を掴んで、泣いていた。 「…うん。大好きだった。一馬と付き合ってもいいと思ってたくらい、好きだったよ。」 「…そっか。なら、良かった。」 好きだ、なんて言えなかった。 名前の部屋を出て車に乗り込もうとした時、雪が降ってきた。 ポケットの中には渡すはずだったクリスマスプレゼントの指輪、小さなメッセージカードには「メリークリスマス。名前、好きだよ」と俺の下手くそな字で書いてある。 それを握り潰しながら、寒空の下で雪に降られた。 イルミネーションと降り続く雪が作ったコバルトブルーの世界で、俺の恋も一緒に溶けて消えていった。 20111224 → |