その夜は何回もセックスして結局寝たのは朝やった。学校も朝練ももちろん行けず、結局俺らが起きたんは昼過ぎ。
「…やば!跡部からメール!」
相変わらず跡部からの連絡だけは気にしている。
携帯片手にニヤニヤする苗字を見ればいい知らせだった事が容易に伺える。
「今日も会うんか?」
「へへへ。うん、部活終わったらホテルに来いって」
嬉しそうにメールを打つ苗字にイライラした。こいつは俺と何回セックスしようが俺を見る事は決してない。むしろどんどん跡部に対する気持ちが強くなっていくのが分かる。
跡部の方も満更でもないんやろうな。こんな高い頻度で苗字を呼び出すなんて。たぶん体の相性がええとか、こいつがセックスが上手いからとかそんな理由なんやろうけど。
「じゃあ忍足くん、私そろそろ帰るね」
「…駅まで送るで」
「え?いーよ、悪いし」
「あー、コンビニに用事あんねん。」
「そっか。ならついでだもんね。よろしくお願いします」
苗字は相変わらず携帯の着信を気にしながら、俺の隣を歩く。
何やこうしてたら俺らって恋人同士に見えるんちゃうかな、ってほんの少しだけ考えたのはたぶんセックスの余韻がまだ残ってたからやと思う。
駅で手を振る苗字を可愛いと思ってしまったのも、きっとそのせいや。
(俺が女に惚れるなんて…有り得へん)
20110813
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