跡部に会うのは凄く気まずくて申し訳なかったけどきちんと会って伝えたかった。

生憎当の本人は私の心配をよそに昼間からバスローブを着てワインを飲んでいる。いつかのデジャヴのよう。


「アーン?テメェ言いたい事はそれだけか?」


仮にも私は跡部を振ったのに、何故何も言われないのだろう。彼の性格上、自分のプライドを傷つけられるのを一番に嫌うはずなのに。


「俺様は去る者は追わねェタチでな。」


彼は相変わらず暴君でありジャイアンであった。でも何故か憎めない、そんな王様だ。

でも、それでもほんの一瞬だけ跡部が見せた悲しそうな、余裕の無い顔。私がジャイアン様にこんな顔をさせてしまった。


「私、跡部の一番にずっとなりたかったんだよ」

「…もう言うな」


アイスブルーの瞳が、また一瞬悲しみに揺れた。

けれど跡部はグラスに入ったワインを一気に飲み干し口元を吊り上げて笑った。


「一瞬でも俺様の一番になれた事を、誇りに思うんだな」

「うん。もちろん思ってる」

「それと忍足に捨てられたらまた俺のところへ来い。14番目くらいにはしてやる」

「ありがとう、跡部…」


ごめんなさい。でも私本当にあなたを愛してた。





20110922





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