どんな事をしてでも手に入れたかったんや。
跡部のお気に入りの女やった。たくさん居る女の中の一人。ただのセフレとしか思われてないくせに、跡部のために努力して物凄く綺麗になっていったあいつ。
「おーしたーりーくん」
どんどん綺麗になっていくのに、跡部にはまるで相手にされていなくて。そんな時、俺もコイツに少し興味を持った。
「おーしーたーりーくーん!!!!!」
「うわ、何や」
「さっきから何回も呼んでるのに全く気付かないんだもん」
「考え事してたんや。てかお前朝から学校来てんの珍しいやん」
「跡部が今日の朝練後しか空いてないって言うから」
ほら、跡部跡部って。お前、アイツからしたらただの遊びの女やで?
楽しそうに言う苗字を見て不憫に思う反面、どこか笑っている自分も居て。
跡部に夢中の女を俺のモンに出来たらどうなるんやろか?跡部には勉強もテニスも女の数も、何も敵わんけどこの女が俺んとこ来たら跡部は何を思うのか。ただそれが知りたくなって、本当に興味本位で苗字に近付いた。
「自分、遊ばれてんで」
「知ってる」
「しかも婚約者おるし」
「知ってる」
「1番になる事なんてありえへんし」
「うん。私14番目の女らしいからね。」
…ったくコイツは。毎度毎度聞く度呆れる。遊ばれても何でも構わないから、とにかく一緒に居たい。それで充分なんやって。ただのアホやん。結果なんて分かりきっとるのに懲りずに跡部に会いに行くコイツ。
「だって私跡部の事好きだもん」
「知っとる。それよかもう授業始まるで」
「跡部に会えたから今日はもう帰る」
「は?」
「じゃあねばいばい忍足くーん」
「ちょい待ち、、」
苗字の肩をグッと掴んで引き止めた。…でもあれやな。コイツが俺に言われたところで学校に残るとも思えんし。
あ、ええ事思いついた。
「苗字、俺も一緒にサボるわ」
「はっ?」
「デートせーへん?」
「…サーティーワンのトリプル奢ってくれんなら考える。そのあとサイゼ」
「ええで。ほな行こか」
跡部、堪忍な。コイツ俺が貰たで。
20110712
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