結局侑士に何も聞けないまま、その日は家に帰って朝を迎えた。

家を出て私は驚いた。

そこには、跡部が立っていたから…。


「俺様を待たせるなんていい度胸じゃねーか」

「な、んで…」


しかもいつも移動手段は車なのに、今日はその車が見当たらない。歩いて…来てくれたのかな。


「車…は?」

「お前と会ってるのがバレたら困るからな。それより今日は一つ報告をしに来た」

「報告?」


跡部は来いよと言って私を近くの公園へ連れてきた。ベンチへ腰をかけて、私も少し距離を置いて同じベンチに座った。

跡部と公園、不釣り合いだけど噴水を背景にして髪を掻き上げる姿は絵になっている。やっぱり、かっこいい。


「あの写真を撮った奴が分かったんだ」

「…!」

「調べさせたら簡単だった。まさかあいつだったとはな」


そりゃそうだよね、跡部が本気になればあの写真を撮ったのが侑士だって分かるもんね。

侑士だって馬鹿じゃないから、跡部に気付かれるって分かってたと思う。じゃあ何で、あんな事…


「あんま驚かねぇって事はお前も知ってたんだな」

「うん…。昨日、侑士の家行ったら写真いっぱい出てきた。」


跡部の顔がだんだん険しくなっていく。跡部も複雑なんだと思う。侑士がまさか、跡部を陥れるような事するなんて。


「侑士…どうなるの?」

「俺にも落ち度はあった。だが忍足のした事は見逃すわけにはいかない。忍足にはけじめをつけてもらう」

「けじめ…?」

「お前とは別れてもらう」


跡部の言ってる事がよく分からない。思考が回らない頭で必死に考えようとしていたら、跡部は私にキスをした。だんだんそのキスは激しくなっていって舌を絡められた。誰もいない公園に二人の唾液の音が響いてる気がして、不覚にも子宮が疼いた。


「俺の女になれ」


ああ駄目だよ、跡部。私この目に弱いんだから簡単に流されちゃう。


「お前が好きなんだ…名前」





20110908





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