PM11:00


「先生、寝ないですか?」

「プリント仕上がんねーんだ。お前ぇ寝てていーぞ」

「ふーん」


千緒は、風呂上がりでジャージ姿。色気もクソもない。
しかもバリバリと腹を掻いて、大口で欠伸。
出来た女、てのは撤回。


ふと、銀八が千緒を見るとテレビゲームをしてた。スーファミを。デカイ画面の液晶テレビでスーファミ。


「ねー先生?」

「んだよ」

「明日帰りに部活のみんなで神社行こーよ」

「考えとくわ」


銀八の微妙な返事に千緒は腹を立てたのか、ガチャン、と乱暴にスーファミの電源を切った。とたんに静かになる部屋。千緒は、いつものように「お休み」と言って、自分の布団に包(クル)まった。


カチカチカチ、と時計の秒針の音。


「あ、そーいや…」


仕事が終わって、片付けをしていた銀八は手を休めた。
いつも使っているバッグを持ち上げ、開く。中には、グチャグチャになったシュークリームと小さな茶色の小袋があった。


「………。」


グチャグチャのシュークリーム。仕方ないのでスプーンで食べた。
小袋はバッグに入れ直す。時計を見れば深夜と呼べる時間になっていた。


坂田家ご就寝
先生、スプーンくらい洗って。





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