「いや、本当すみませんでした。後悔はしてます」


「銀時、俺からも謝る。後悔はしてるんだ、許してやってくれ」


「後悔はしてるって、反省をしろよぉおお!!」



万事屋の中は散らかってるわけでも、かといって片付いてるわけでもない。机にあるジャンプのタワーが、片付いてる、と言うのであるなら綺麗なのだろう。

千緒は向かい側に座る白髪天パを見遣った。奴の鼻にはティッシュが詰まってた。鼻血が出たんだ、仕方ない。
その表情は不機嫌だ。



「まあ、そう言わないでください。ヅラにはよく言っておきます」


「そうだ銀時、俺にはよく言っておく?」


「よしヅラ、まずその頭を脱げ」



頭を脱ぐという無理難題を投げつける銀時。「?」はあえてツッコまない方向だ。



「……で、ヅラはいいとして、アンタは何でヅラといたんだ?」



不意に話をふられて、私は困った。万事屋には用はないし…



「う……あ、ええと…」


「さっき"先生にそっくり"とか言ってたが、何なんだその"先生"てのは」


「銀時、頭は脱ぐものじゃないぞ。そしてヅラじゃない桂だ」


「お前は空気を読む勉強をしろ」


「ああっ!!先生、そうだ。わた、私…人探ししてまして…。それで、万事屋さんに依頼しようとしたら、探し人である先生に貴方があまりに似てまして…うん」



我ながら素晴らしい嘘だ。まあ、その場しのぎの嘘だが、あながち間違ってはいない。









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