「ん…あぁ…」


目が覚めると、そこは神社の境内に続く階段の下の方だった。私はまるで階段を枕にするように寝ていたらしい。

頭を覚醒させるべく立ち上がると、階段の枕がいけなかったのか、後頭部がちょっと痛い。
スカートの砂埃を払って、周りを見ると私の荷物がバラまかれてる。しかもバッグは1番上にあるという嫌がらせ。


「うわっ!!めんどくさっ」


惨めに荷物を拾いながら境内に続く長い階段をのぼる。


――廃れた神社だ。誰も居るはずがない。


と言うのは過信だったらしく、境内にはマダオがいました。しかも奴は私が先生のために買ったジャンプを読んでました死ね。


「ちょっとマd…長谷川さん、私が買ったジャンプ読まないでくださいよ。読むなら2万払ってください」

「ちょ、お嬢ちゃん、今サラリと凄い金額請求したよね?しかもマダオって言いかけたでしょ。おじさんにはわかるんだから!!」

「何が"お嬢ちゃん"よ。私のこと、許可もしてないのに千緒ちゃんって呼んでたのはどこのマダオだったかな」

「え、これオヤジ狩りかな。オヤジ狩りだよね。脅迫して金盗るつもりだよこの子!!残念だけどおじさんにはお金ないからね!!無料のハローワークを取るのも気が引けるくらいおじさんは貧乏なんだからね!!」


貧乏って言いながらここまで勝ち誇れるマダオは、もうマダオのままでいい気がしてきた。
このままでは埒があかないと思い、マダオの持つジャンプをぶん取り、階段を駆け降りて大通りまで全力で走った。


背中にマダオの泣き声を聞いた気がしたけど、構わず走った。





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