「本当先生、どーしたんですか?」

「いやあ、それがよ」


昼間の話しを千緒にすると、千緒は涙を流しながら爆笑していた。


「…で、先生は私を愛しちゃってるんですか?」

「んなわけねーだろ。そーゆお前こそ俺のこと愛しちゃってるんじゃねーの?」

「まっさかあ!!歳、10ぐらい違うのに!!」


ないない、と笑い飛ばす千緒を見て「だよなあ」と笑う。


「先生も早く彼女作っちゃえば良いのに」

「天パのせいでモテねーの」

「嘘ばっかぁ」


ケタケタと笑う千緒。

あー、やっぱコイツと結婚とか恋人とか考えらんねーや。
付き合いが長すぎるせいか。
互いに知りすぎたせいか。
コイツが乳飲み子の頃から近くにいたから、コイツに抱く感情に鈍くなってんだろうな。


「でもさ、先生…あたし、出会い方が違ってたら坂田銀八って人間に惚れてたかも知れない。」


ボソリ、と呟いた一言に心臓が確かに跳ね上がった。
そして、出会い方を間違えた、この世界の俺は、違う世界の俺に嫉妬した。


坂田家の食卓
テレビ、消すか。





×