「送る」


「別にいいです」



そう言っても、荷物を持ってもらったままで結局送ってもらうことになった。

私のクラスの土方十四郎と違うのは、年齢が大人か高校生の違いだからだ、多分。



「荷物、後ろに置いとくぞ」


「あ、はい。ありがとうご……、パパ、パトカー!?」



驚いていたら、既に車内にいたコスプレ男は早く乗れと言わんばかりに、睨んできた。目力に殺されそうだ。
車内に乗り込んだら、染み付いたタバコの匂いがした。



結局、会話らしい会話もせずに目的地の万事屋に到着した。



「万事屋じゃねぇか…」


「はい。ご存知で?」


「まあ、軽く腐れ縁って奴だな」



本気で嫌そうな顔をするところを見ると、銀さんはこの"土方"と仲が、というより相性が悪いのだと思う。



「じゃあ、有り難うございました、コス男さん」


「コス男さんって…お前、めんどくさくなってるだろ…」



車から降りようと、ドアを開けたら呼び止められた。
コスプレ男は、少し思案顔を見せた。



「…"土方"、な」


「下のお名前は?」


「……。十四郎。お前は」



さすがに下の名前を言うのは照れたらしい。私は思わず笑ってしまった。そういうところは、クラスの彼と変わらない。



「坂田千緒です。コス方さん」



土方さんは荷物を出してくれて、私が階段をのぼりきるまで見送ってくれた。



「土方さん、あげます、コレ」



マヨネーズを下の土方に投げたら、上手くキャッチしてくれた。



「じゃあ、また」



手を振ると、土方さんは片手は口元にもう片方の手を軽く振ってくれた。





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