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Am10:15

銀魂高校 3年Z組にて。

1時間目は数学。でも、担当の教師が風邪のため自習になっていた。
代わりに来たのが坂田銀八。
「課題はジャンプ丸写しな。つまんねー作者の言葉と通販のとこまで写せ」とか言って読みかけのジャンプに目を落とした。


ガラガラ、と戸が開く。
無表情に教室に入り、無造作に机に鞄を放るのは高杉晋助。
高杉の机には何故かエリザベスが書いてある。落書きのエリザベスにフキダシがあった。


[晋助早く来いやーBy千緒]


「クク」

「エリザベスは喋らん、と何度も注意したんだがな」


呆れ顔の桂は、高杉の左隣の席だ。右隣は千緒。更に千緒の右は土方となっている。
珍しく学校に来た高杉は、桂を無視して千緒の席を見た。

鞄がない。机の主はまだ来てない。


「千緒は来てねーのか?」

「ああ。だが俺とエリザベスは出席している」


聞いてねェ、と高杉は短く返すとケータイを取り出した。
アドレス帳を開き、"千緒"を選択して電話を掛けようと親指を決定ボタンにのせたとき。


「もしもし千緒?俺でさァー。……だから、俺俺、俺だって。……何言ってやがんでさァ。俺っつったら俺以外に俺しかいねーだろィ」

沖田が電話してた。

高杉は舌打ちをして、教室を出ようと席を立った。


「沖田くーん何電話しちゃってんの?千緒か千緒ちゃんなのか?」

「今どこにいるんでさァ。……神社ぁ?何でまたそんなとこに…………おい?……千緒?どうした、…………は?」

「どうした?」

「切られやした」


それを聞いた高杉は、小さく笑って教室を後にした。


坂田さんの消失
マジでか。





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